特集 ● 内外で問われる政治の質
行き着くところへ行き着いたイスラエル
追加発信 ──バイデン米政権はネタニヤフ首相を見限り、反ネタニヤフ派とアラブ穏健派と組んで「二国家共存」による和平構想の推進図る
国際問題ジャーナリスト 金子 敦郎
ネタニヤフ・イスラエル首相がいよいよ追い込まれてきた。5月下旬の5日間、連続的に大きな衝撃に襲われた。いずれも起こるべくして起こったものだ。ネタニヤフ政権の足並みの乱れが公然化した。「後ろ盾」としてネタニヤフ弁護に努め軍事支援を続けて批判を浴びてきたバイデン氏にはネタニヤフ氏との「共倒れ」に引きずり込まれる危機だ。ようやくネタニヤフ氏を見限って、イスラエルのネタニヤフ批判勢力と米国にアラブ穏健派諸国を加えて「二国家共存」によるパレスチナ紛争の永続的解決を目指すバイデン氏の戦略転換の動きが浮かびあがってきた。
ネタニヤフ氏を追い込んだ衝撃波の第1は、国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官が5月20日、ネタニヤフ首相とガラント国防相、およびハマスのガザ地区トップのシンワル氏ら3人の幹部、双方あわせて5人に対して戦争犯罪や人道に対する罪で逮捕状を請求したことを公表する異例の発表だった。ネタニヤフ氏は「歴史的暴挙」と激怒、バイデン氏も「言語道断」と同調した。しかし、1月末に国際司法裁判所(ICJ)から、ガザの人道危機はさらに悪化する恐れがあるのでジェノサイド(特定の民族に対する大量虐殺)にならないようあらゆる措置をとるようにとの命令(仮処分)を受けながら無視してきたのだから、自ら背負い込んだというしかない。
2日後の同22日にはスペイン、アイルランド、ノルウエー3国がパレスチナを26日付で国家承認すると発表した。3国は「二国家共存」によるパレスチナ問題解決を促進するためと理由を明らかにした。イスラエル国連大使は会場で「国連憲章」を破り捨てて抗議、イスラエル政府は強い怒りを表して、3国に駐在する大使に召還命令を出した。
しかし、2週間ほど前に国連総会が現在オブザーバー参加のパレスチナの国連加盟を支持する決議案を143カ国(加盟国193カ国)の圧倒的多数で採択していた。何年も前から国連加盟国の流れになっていた。米国は国家の承認は当事国間で決める問題と、抑制的な反応にとどめた。
続いて24日。国際司法裁判所はイスラエル軍がガザ最南部ラファで続けている軍事作戦の即時停止を命令した。イスラエル政府は、市民に破壊をもたらす作戦はしていないし、今後もしないと述べるともに、必要な戦いを続けると宣言、その後も作戦を続けている。ICJの命令は法的拘束力を持つが、強制する執行力は持っていない。
戦闘停止命令破りで45人犠牲
イスラエル軍は2日後の26日、戦闘停止命令を無視してラファの避難民が密集し多数のテントが張られていた地区を攻撃、これでまた45人の生命が奪われた。そのうち23人は子どもと女性と高齢者だった。イスラエル軍によると、この戦闘は2人のハマス戦闘員を狙って精密兵器を発射したのだった。2人を殺すために無関係の45人を殺し、他に249人に傷を負わせたことになる(エルサレム共同)。
イスラエルはラファを反イスラエル武装組織ハマスの最後の拠点として、総攻撃を準備してきた。しかし、北部から南部へとイスラエル軍の無差別攻撃に追われた100万人の避難民を加えて150万人に膨れ上がったラファにイスラエル軍が侵攻すれば大虐殺を引き起こすのは必至。これまでイスラエル軍の軍事作戦を事実上容認してきた米政府がようやく、一般市民の犠牲を回避する具体的な作戦計画を示すまでは侵攻を許さないと強く反対、2カ月のにらみ合いが続いてきた。
それでもイスラエル軍は「限定的」と称する軍事攻撃を続け、市民の犠牲が途絶えることはなく、国連やNGOによる食料水、医療機器・薬品の搬入がイスラエル軍の戦闘継続と、医療用の小型メスまで没収してトラックを追い戻すといった徹底的な検閲、さらには極右イスラエル住民の略奪によってほとんどストップ、ガザ住人の飢餓状態が続いてきた。国際法では軍事攻撃と合わせて、こうした「意図的兵糧攻め」による飢餓は「ジェノサイド」の要件の一つにされている。
「停戦拒否」の悪役はイスラエルに
緊迫した情勢が続く中、開戦から7カ月目の5月にはいる頃から、ガザおよびワシントンからの報道に新しい動きが感知されるようになってきた。その始まりは5月6日だった。ハマスが仲介国(カタールを中心にエジプトと米国が加わる)から提示された休戦案を受け入れると突然発表した。イスラエルは「自分たちの要求とかけ離れている」と反発し、交渉は継続するものの、ラファ東部で「ハマスの拠点」を攻撃した。米国および日本メディアの報道によると、この調停案は4月末に仲介国からイスラエルとハマスの双方に提示されたもので、戦闘を6週間停止した後、ガザの「持続可能な平穏」の達成に取り組むとされていた。しかし、ハマスが受け入れた調停案は「持続可能な平穏」を恒久的な敵対行為の禁止とイスラエル軍のガザからの撤退を意味すると定義していた。
この定義は仲介国がハマスの主張に沿って書き加えたものだった。イスラエルが受け入れる可能性は初めからなかった。注目されたのは、ホワイトハウスのカービー広報補佐官(国家安全保障担当)が7日、記者団に「イスラエルとハマスとの間に残る溝は埋められる」と述べて、イスラエルに譲歩を求めたことだ。仲介役3国が「休戦反対」の悪役をイスラエルに仕立てたということになる。この「シナリオ」は米国とアラブ諸国側からネタニヤフ氏への絶縁通告だったようだ。
バイデン氏は翌8日、2000ポンド爆弾などの大量破壊兵器の支援を停止、さらに住民保護の適切な対策を取らないまま作戦を強行するならば兵器供給を停止するとテレビ・インタビューで警告した。仲介国を通した間接交渉はその後、進展はなく、事実上途絶したままである。
「ガザ統治の青写真がない」
次はイスラエル政府戦時内閣のガラント国防相が15日、ガンツ元国防相(戦時内閣の閣僚)が18 日と相次いで記者会見して、ネタニヤフ首相を公然と批判した。戦争のさなかに2人の有力閣僚がそろって首相を批判するというのは異常な事態だ。2人は同じように、ネタニヤフ首相が軍事力によるハマス殲滅を目指すだけで戦闘終結後のガザをどう統治するのか、その「青写真」が欠如していると批判した。これはバイデン氏ら米政権の高官が繰り返してネタニヤフに忠告してきたテーマだった。
米国はイラクやアフガニスタンで反米イスラム勢力を圧倒的な軍事力でいくら掃討しても、作戦が終わってしばらくすると彼らは再結集してきて、イタチごっこを繰り返す苦い経験をしてきた。住民自身が戦わないと、こうした民族対立が絡む戦争には勝てないというのである。ガザ戦争でもイスラエル軍が完全征圧したと宣言していた北部ジャバリアでハマスが再結集して戦闘が再開され、激戦になろうとしていた。これが両氏の記者会見によるネタニヤフ批判のきっかけになったのかもしれない。
しかし、ネタニヤフ氏は軍事力によるハマス掃討一本鎗で、軍事制圧した後もイスラエル軍が占領統治を続けると決めこんでいた。ネタニヤフ氏はガザや西岸地域は軍事占領のもとに置いたまま、いずれイスラエル領に併合してパレスチナ全土をイスラエル国の領土にすることを目指している(大イスラエル主義)。これに対してともに軍トップの参謀総長を経験している両氏は、軍は長期にわたって占領地の統治を担うことはできないとして、ガザの占領地はパレスチナ人自治政府やアラブ周辺国、米欧にゆだねることを提言した。ガンツ氏はネタニヤフ首相が6月8日までに具体的なガザ統治案を提示しないなら辞任すると時限を付けた。
次期首相狙うライバルの「共演」
両氏の批判および提言ではパレスチナ国家について何も言及していない。しかし、ガザ統治のメンバーにパレスチナ自治政府を加えていることは、事実上、ネタニヤ氏の大イスラエル主義には同調はせず、「二国家共存」によるパレスチナ紛争の解決を目指していると受け取れる。ガラントはネタニヤフと同じ大イスラエル主義を掲げるリクード党。しかし、ネタニヤフの最高裁権限縮小の司法制度改変は自分の汚職起訴・裁判逃れと批判して国防相解任を突き付けられるなどネタニヤフと鋭く対立している。ガンツは中道の野党、国家団結党首。ともに知名度は高く、次期首相候補のライバルとされている。
ガラント氏の記者会見の後、米ワシントン・ポスト紙電子版は、軍事問題を中心に国際問題に詳しいベテラン・コラムニスト、D・イグナティウス記者がガラント氏に直接取材した情報を基に「重大な新たな議論がイスラエルで始まっている」との見出しの記事を掲載した。同記者はその中でハマスという政治勢力が敗退した後のガザを安定させるためにパレスチナ人の治安部隊を造ることになった。ネタニヤフ、バイデン両氏の関係が悪くなっているので、米国・イスラエルの関係ではガラント氏が重要な役割を担っているーと報じている。同記者は20日にも、この和平構想にはアラブ諸国からエジプト、ヨルダン、首長国連邦(UAE)、サウジアラビアが参加すると伝えた。
ニューヨーク・タイムズ紙のベテラン・コラムニストで中東問題の第1人者とされるT・フリードマン記者は、米国がパレチナ問題の解決にはイスラム教の聖地メッカの国で石油大国でもあるサウジアラビアの直接関与が必要だとして、両国が近年密接な接触を続けてきたとしばしば報じてきた。同紙5月4-5日付国際版では、米国とサウジアラビアの相互安全保障条約締結、イスラエルがパレスチナ国家を認めたうえでサウジアラビアとイスラエルが国交を樹立するーという「新しい中東」の構築を目指していて、米国とサウジアラビアの安保条約は主な内容でほとんど合意ができていると報じていた。
「タブー」でなくなったイスラエル批判
バイデン氏の「ネタニヤフ見限り」の決断の背景には米国世論の大きな変化があると思われる。歴代政権が後ろ盾になり、ユダヤ系米国人社会の強い支持を得ているイスラエルに対しては、批判や反対はしにくいという現実があった。「ロビー民主主義」と呼ばれる米国で最強のロビー団体とされる2つの一つが「米国イスラエル広報委員会」(AIPAC:もう一つは全米ライフル協会)。生半可なイスラエル批判は「反ユダヤ主義」(ヒトラーのホロコーストを容認するもの)と非難されかねない。
反イスラエルのパレスチナ人武装組織ハマスがイスラエル農村共同体を奇襲、1200人を無差別虐殺し人質250人を略取するという戦慄の中でイスラエルの「報復―自衛権発動」が始まって間もなく8カ月。この戦争はゲリラ集団対米国の支援を受ける中東の軍事大国イスラエル。ほとんどがパレスチナ難民で占める230万人のガザ住民の誰がハマス戦闘員か見分けるのは難しい。子どもと女性が7割超とされる死傷者の数は日々積み上げられて3万6050人(5月27日現在)、住民の8割が逃げこむ場のない難民となった。バイデン氏はネタニヤフ氏に繰り返し自重を訴えたが、言葉だけに終わり、米国世論にもイスラエル批判が広がっていった。
なかでも学生を中心に若者世代はイスラル支持者の反発を忖度することはない。4月中旬にコロンビア大学(ニューヨーク)で始まった大学キャンパス占拠の抗議行動はたちまち全米40州 に広がった。彼らが掲げたスローガンは、反イスラエルまたは反ネタニヤフ、反シオニズム、パレスチナ支持・支援、バイデンはイスラエル支持を止めろ、など。これが議論を呼んだ。米国にはイスラエルの反ネタニヤフ勢力につながる穏健派組織もあるが、若いスタッフやメンバーがネタニヤフ退陣を掲げるなど左傾化し、イスラエル絶対支持だったキリスト右派勢力にも動揺が起こっていると報道されている。
「シオニズム」ゆがめたネタニヤフ
米国の主要メディアにはリベラル寄りないし中道が多く、ユダヤ人も多数だ。ワシントン・ポスト紙では論説委員たちが集まって、反イスラエル抗議デモをどう報道するか徹底議論を交わした。そこでは「キャンパスの反乱」には反ユダヤ主義や極右、極左が紛れ込んでいるが、全体として彼らの運動は反ユダヤ主義でも、反シオニズムでもなく、問題はネタニヤフがシオニズムをゆがめているといった見方が多かっという(同紙電子版から)。
世論のこうした疑問や議論にズバリ答えたのがヘブライ大学(イスラエル)の歴史学教授ユベル・N・ハラリ教授の5月13日付ワシントン・ポスト紙への「シオニズムはこの戦争を生き延びるのか」と題する長文の寄稿だった。ハラリ教授は1976年生まれの新進学者で、「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福」「ホモ・デウステクノロジーとサピエンスの未来」という国際的ベストセラーの著者。米欧の主要なメディアに寄稿している。その要点を紹介する(以下は同日付電子版から)。
『ユダヤ人は特別に優れた民族ではないし、失った国家を再興したいとするナショナリズムもポーランド人やギリシャ人と同じで、個人の人権のように民族が持つ自決権に基づいている。それはパレスチナ民族の自決権を排除するものではない。しかし、ユダヤ人のシオニズム運動は強硬派の過剰なナショナリズムの傲慢と暴力によってゆがめられてしまった。
再興されたイスラエル国家はパレスチナ国家を否定し、地中海からヨルダン川西岸を領土にし、さらにヨルダンまで支配を広げようとしている人もいる。
シオニズムの始祖ヘルツェルは、シオニズムにとって最も危険なのがこの特別な民族という傲慢と過剰なナショナリズムだとみていた。ヘルツェルは著書『古き新たな土地』(Old New Land;死の3年前の1902年出版)の中で、ユダヤ人は他の民族より優れているから将来再興されるユダヤ国家は特別な特典を持とうとする人たちが出てくる恐れがあると述べている。
まだ遅くない。イスラエルは国連総会決議に基づいて「二国家共存」の道へ進まなければいけない。ネタニヤフ氏がこのまま権力を握り戦争を続けるならば、イスラエル国家だけでなくユダヤ民族そのものが危機に陥る』
焦点は「ネタニヤフ外し」
ネタニヤフ氏は戦闘停止命令に逆らった攻撃で45人の死者を出したことについて翌27日、国会で「非戦闘員を傷つけないよう努力しているが悲劇的ミスが発生した」として調査を約束する一方で、「勝利の旗を掲げるまで戦う」とあくまで戦闘を継続する構えをとっている。
イスラエルでは、ガザおよび西岸の占領地を「二国家共存」へ向けて段階的にパレスチナ自治政府の統治に移行させる「オスロ合意」(1993年)の支持が3分の2の多数を占めていた。しかし、イスラエル側では2009年からネタニヤフ氏が率いる「大イスラエル主義」のリクード党が長期にわたり政権を握り、占領地への入植地建設(国際法では違法)を進めてきた。事実上の領有へ向けた既成事実つくりである。
パレスチナ側でも同じようにパレスチナにはユダヤ人国家はつらせないという「パレスチナの大義」を掲げるハマス(反イスラエル政治組織)が自治政府から2007年にガザの統治権を奪取して、イスラエルに対するゲリラ的抵抗闘争・武力抵抗を続けてきた。ハラリ教授によると、イスラエルでは「大イスラエル」への支持が3分の2へと逆転して多数を占めるようになっていたという。
そのネタニヤフ氏は2021年長期政権の果てか、汚職事件で裁判中の身。2023年末に政権を奪還すると、最高裁の権限を縮小する司法改革を議会に提案した。自分の起訴・裁判を取り消させるのが狙いと誰もがわかる。猛反対が起こり、連日国会がデモに取り囲まれる事態になった(パレスチナ紛争の主な経緯は『現代の理論』36、37号の拙稿を参照ください)。
そこで起こったのがハマスの大虐殺だった。いかに非難を浴びようともひたすらハマス殲滅攻撃をやめないのも、人質の家族が人質とパレスチナ人捕虜の交換優先をいくら叫んでもハマス殲滅優先を絶対に譲らないのも、戦争を続けている間は政権を握り締めていられるからと大方が見ている。バイデン戦略を進めるには、ネタニヤフ氏を退陣に追い込むのが第一歩だ。ガンツ前国防相はネタニヤフ氏が6月8日までに満足できるガザ統治案を示さないなら辞職すると宣言している。当面注視されるのはそこで何が起こるか。しかし、比例代表制の議会選挙制度によって多党乱立が常態で、ネタニヤフ氏は手練の政治家だ。この戦争がどこへ行くのか、予測はまだ難しい。(5月28日記)
かねこ・あつお
東京大学文学部卒。共同通信サイゴン支局長、ワシントン支局長、国際局長、常務理事歴任。大阪国際大学教授・学長を務める。専攻は米国外交、国際関係論、メディア論。著書に『国際報道最前線』(リベルタ出版)、『世界を不幸にする原爆カード』(明石書店)、『核と反核の70年―恐怖と幻影のゲームの終焉』(リベルタ出版、2015.8)など。現在、カンボジア教育支援基金会長。
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