特集●問われる民主主義と労働

ラテンアメリカの現況をどう見るか

大陸規模で深まる政治的危機と右派の攻撃に抗して

立命館大学名誉教授 松下 冽

はじめに

新自由主義が現代世界の時代的・構造的な背景をなしており、諸政府が推し進めるその政策が民衆の生活に破壊的影響を及ぼしている。それは民主主義の空洞化を進め、民衆の自由を窒息させ、さらにそのイデオロギーを「常識」として定着させてきた。ウェディ・ブラウンが強調しているように、新自由主義はあらゆる人間の活動域と活動とを、人間そのものとともに、経済的なるものの特有のイメージに合わせて変形させてきた。その結果、すべての行為は経済的行為となっている(ブラウン,2017)。

新自由主義の主要な目標は、資本蓄積を復活・強化させる方向で国家と市場との関係を「改革」することであった。それは、国家の新自由主義的再編と基本的な社会サービスの民営化という過程を伴っていた。それは、規制緩和、民営化、課税削減、政府サービスの低下や社会的保護と低賃金雇用の常態化といった諸政策の採用に導いた。とくに労働市場の劇的な変化は、市民の社会的諸権利の急激な縮減を生み出した。それは、「自己責任」という言説でカムフラージュされ社会的不安を広範囲に引き起こすことになった。

ラテンアメリカ(以下、LA)では新自由主義モデルがチリのアジェンデ政権(1970~73年)の挫折を契機に、世界に先駆けてこの地域全域に猛威を振るった。「略奪による蓄積」を通じて経済エリートの階級権力は回復し、グローバルなエリートのなかでこのモデルはコンセンサスを得た。その結果、新自由主義型「改革」は、市民生活のかなりの部分を市場法則に従属させることになった。しかし、当然、こうした「改革」は多くの市民から異議申し立てや激しい抵抗を受けることになった。大規模な抵抗や暴動は1989年のベネズエラやアルゼンチンで噴出した。チリやブラジルのような国でさえ、失業や半失業の増大、そして賃金の下落によって新自由主義が問題を孕んでいるとますます認識されるようになった。

こうした歴史的・構造的な背景のもとに、LAでは政治の左傾化が強まり、左派が「復活」する社会的基盤を形成したのである。1999年のベネズエラにおけるチャベス政権の誕生に続き「左派」政権が次々と出現した。この地域の人口の約60%が左派政権のもとで生活するまでに至った。そして、政治的左傾化の波がほぼ20年の間続くことになった。これらの「左派」は従来の社会主義(レッド)を目指す政権ではなく「社会民主主義」勢力を含むかなり幅広い諸勢力から構成されている。(いわゆる、ピンクタイド)。

ところが、最近、保守的諸勢力の巻き戻しが強まっている。2016年には中道左派政権を代表するブラジルでは、ルーラ政権が国内大資本との癒着した関係を批判された。そして後継のルセフ政権も保守派の攻撃にさらされた。2018年には極右で元軍人のジャイール・ボルソナドに政権を奪われた。LAの政治的左傾化の波は、今日ではその趨勢も終わったかの感がある。

1 本稿の若干の視点

そこで本稿は、「LAにおける現況をどう見るか」を論述する前提として、まず勢いづく右派の復活・巻き返しの構造的背景を考察する際の基本的視点を提示しておきたい。これは左派政権が抱えてきた問題と課題が如何に顕在化したのかを問うことと関連する。

第1に、ナショナルな市民社会内で一定の社会運動を発展させることは容易ではない。市民社会が同質的なアクターではなく、新しい左派政権を経験した国家も様々な点で市民社会アクター内部にさらなる分裂を創り出していた。そうした社会では、特定のアクターを特権化し、他を周辺化していた。この困難はネオリベラル型グローバル化の切迫した要請に拠っていた。また、ナショナルな市民社会とこれらの政治的情況は密接にその要請と結びついていた。それは資本の自律性を最大限にするため垂直的権力関係を鼓舞していた。

第2に、こうした構造的束縛にも拘らず、市民社会の強力なアクターは彼らの暮らしを掘り崩す国家の行動に異議申し立てをした。この点には注意が払われるべきであろう。なぜなら、市民社会の役割は、熟議や異議申し立てを通じて意思決定をするための単なる意見形成を超えて進んできたからである。左派政権は、一方で、社会運動によって結びつけられた民衆の諸要求と、他方で、大資本の市場志向やグローバルな要求との間で選択を迫られてきた(後述のブラジルの事例を参照)。

第3に、新自由主義が強力な支配をしていた時代は、一時的、表面的に終わりつつあるように見えたが、今や左派政権は挫折と失敗に直面している。他方、企業の経済影響力が劇的に拡大した。強力なレトリックと民族主義的立場にもかかわらず、左派政府いずれも輸出や外国貿易や投資を規制する厳しい努力をしてこなかった。

第4に、グローバル化の文脈で、貧困削減のために左派政府による採掘産業への依存が民衆の生活と願望に、とくに、ローカル・レベルやこうした産業活動に関わる先住民集団のそれと矛盾をきたしている。

2 政治的危機と右派の復活

<混乱の空間を利用する右派>

2008年の世界金融危機が発生すると、グローバル資本主義の論理の中で左派政権による再分配改革は限界に直面した。2012年に始まったグローバルな商品市場の崩壊のため、左派政権は天然資源輸出への極端な依存状況を生みだした。他方で、一次産品(大豆などの農産品や石油など鉱物資源)を求める中国のおかげで商品価格を高く維持してきた。これもこの依存状態に影響した。

その結果生じた政治的緊張は民衆の抵抗を生み出した。同時に、これを利用する右派の復活の空間を開いた。これは、ボリビアにおける最近のクーデター、ブラジルの労働者党の追放、その他の左派政権の暗転を分析する際の本質的要素である。

伝統的支配階級は、社会的・階級的諸勢力のバランスのもとで、ピンクタイドのプロセスにおいて左派政府との妥協に達することを余儀なくされた。しかし、経済的・政治的混乱が右派によるマヌーバーの空間を開くや否や、伝統的支配階級は直接的政治権力を回復するためにしばしば暴力的である攻勢に邁進した。右派の憲法的・超憲法的な転換は、既に2009年、ホンジュラスのクーデターで始まった。これに続いて、パラグアイの左派大統領ヘルナンド・ルーゴに対する2012年の「ソフトなクーデター」、アルゼンチンにおけるペロニスタの2015年の選挙による追放、ブラジルにおける労働者党支配に対する2016年の「議会型クーデター」、チリにおいては大統領選挙でのセバスチアン・ピニェラと「チリ・バモス」同盟による右派の復活、2018年コロンビアの極右大統領イバン・ドゥケの選出、2019年初頭、エルサルバドルにおけるファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)の選挙での敗北と続いた。

<権威主義的・軍事主義的構築と米国>

こうした右派への急速な展開は、この地域を横断する抑圧のエスカレーションと極右政党やビジネス集団の動員を含んでおり、ボリビアではつい最近の10月のクーデターで頂点に達した。この地域は再び権威主義レジームが始まった様相にある。LAは不安定で危険な状態になりつつあり、私的暴力は民衆の反乱を抑圧するため諸勢力を統合し、さらなる企業的略奪にこの大陸を開放している。この極右への旋回の中心には、多国籍企業権力を強化・拡大するための権威主義的・軍事主義的アクターの存在がある。

LAの軍部は近年、この地域における多国籍企業と金融拡大の新たなサイクルに向けて急速に拡大してきた。グアテマラやペルーの先住民が住む高地、アマゾン地域、コロンビアの太平洋沿岸では最近までわずかな自治が残されてきたが、こうした空間は暴力的に屈服させられ、豊富な天然資源と労働供給は多国籍資本に利用されている。

ワシントンD.C.を本拠地とするInter-American Dialogueによる2018年レポート『Security for State』によると、2017年にLAにおける1万6000以上の民間軍事・安全保障会社は約240万の人を雇用し、社会運動を抑圧するために国家諸勢力としばしば協力している。現役の、あるいは退役の軍人や警官とこれらの民間企業との境界は曖昧であり、そこには「現役の軍人と元軍人、民間安全保障会社、企業エリート、政府の役人、これらの密接なネットワーク」を含んでいる。

ブラジル、ボリビア、メキシコ、ベネズエラの軍部は最近、その規模を二倍にし、コロンビアの軍部は4倍になった。この地域の残りの軍部は規模において平均35%増加した。軍部はこの地域のメガ・シティで展開し、組織的反対派の抑圧においてしばしば影の死の部隊とともに活動している。

右派は多国籍企業による略奪の軍事的拡大の一環として直接的な政治権力を今や利用しようとしている。それは新自由主義的政策の新たな段階であり、大衆的抵抗の爆発に火をつけるものである。ニカラグアでのオルテガ政府に反対する2018年4-8月の反乱は、年金改革を押し付ける政府の決定により誘発された。エクアドルの先住民、貧農、労働者の2019年9-10月蜂起は、燃料の補助金を終わらせるためのIMFとモレノ政府による取引に対応して起こった。チリでは若者を中心に公共輸送料金の値上げを決めた政府と対峙している。アルゼンチンでは10月末に選挙でマクリの追放に導いたのはこの政府の新自由主義的攻撃であった。そして、コロンビアでは、政府による新たな緊縮政策の延長が大衆的抵抗の引き金になった。

3 市民社会と政治社会の間の亀裂

<社会運動と制度的・党派的左翼との分裂>

グローバル資本主義は現在、構造的かつ政治的な有機的危機に直面している。構造的に、このシステムは過剰蓄積の危機に直面し、過剰に蓄積された資本を処分するための新たなチャンスを求めて、世界中で暴力的・軍事的拡大を新たなに展開してきた。政治的には、このシステムは資本主義的ヘゲモニーの解体と国家の正統性の危機に直面している。

国家の正統性の危機や同意調達のメカニズムが機能しなくなると、民衆の様々な不安や異議申し立ては多様なベクトルで働く。現在のLAでは右派復活の流れが主流となってきたが(ブラジル、エクアドル、パラグアイ、ホンジュラス、ハイチ、チリ、コロンビア、ペルー、グアテマラなど)、新自由主義に反対する抵抗運動の波、民衆蜂起の波もあった(チリ、エクアドル、コロンビア、ハイチ)。また、左派の政府や中道左派の政府に反対する「抵抗運動」の流れもみられる(ボリビアのモラレス政府やベネズエラのマドゥーロ政府)。さらに、中道左派や進歩的政治勢力にとって一定の成功とみられる流れもある(最近のアルゼンチンのペロニスタの復活やメキシコにおけるロペス・オブラドール政権の誕生)。

制度的・党派的左派がその権力と影響力の多くを失ってきたとき、市民社会と政治社会の間の亀裂が現れている。大規模な社会運動と調整可能な能力を失った制度的・党派的左翼との間の明らかな分裂がLA中で現れてきた。それは、左右のポピュリズム運動や政権につながる。

しかし、LAで右派の攻撃的な復活は不安定な基盤に依拠する危機への対応である。民衆の不満が広がるにつれて、支配集団は通常、強制的・抑圧的支配形態に転換する。それは、この不満を抑え込むとともに、新自由主義の深化を通じて新たな蓄積の機会を開くための戦略である。われわれは1973年のチリでクーデターを引き起こした経済的・政治的混乱状況を思い出す必要があろう。それは、米国の介入のもとで「資本家スト」による社会的・経済的混乱を誘引し、中間層をアジェンデ支持から引き離した。今日では、多国籍資本家階級とそのローカルな同盟者は、新たな新自由主義型緊縮政策を通じて、危機の負担を人民階級に転嫁することで利益の回復を追求しているのである。

<選挙の問題と資本主義国家の問題>

今日の時点で、右派の復活と政権の奪取に反対するLAの闘争を考えるとき、如何なる教訓を引き出すことができるか。左派政権は資本主義国家の粉砕ではなく、憲法の諸手段と選挙過程によって権力についた。極右の暴力的復活のもとで、世界資本主義から自立する可能性はないが、左派政権が構造的転換を実行するため何をなすべきか、この議論が改めて検討される必要がある。

LAにおける再建された左派のプロジェクトは、どれも選挙の問題と資本主義国家の問題を扱わなければならない。もし左派が右派の最近の猛攻撃に立ち向かうとすれば、左派は早急にピンクタイドのこれまでの経験を再検討し、新たに国家再建プランを構想しなければならない。左派勢力が政権に就くと、いずれの政府も資本主義国家とその危機を統治する仕事に着手せざるを得ない。一般的に、左派政権においても、国家の防衛を含めて、その再構築と経済の再生産のために多国籍資本への従属に押しやられる。その結果、それはその政権を支持した民衆階級や社会運動の要求と食い違う方向に置かれる。

<自立的な社会運動の能力の問題>

左派的政権が当初の目的を実現するため決定的に重要なことは、大規模な自立的な社会運動の能力の問題である。これは一方で国家と左派政党と大規模な大衆運動の間の三者の関係の再考を含んでいる。LA諸国家に対する多国籍資本とグローバルな市場が行使する支配・統制に対抗力を押し付けることが不可欠だが、そのためには下からの大衆動員と社会運動の継続がカギである。

このコンテクストにおいて中間層の動向は極めて重要である。この間の右派の攻撃の中で、中間層の獲得をめぐる争いが続いた。今日、中間層の問題はベネズエラで象徴的に現れている。ベネズエラのチャベス政権は多くの労働者階級を囲い込むために特権の付与を拡大した。だが、現在、マドゥーロ政権の下で中間層は動揺し、むしろ反体制側に動員されている。右派は中間層を味方に引き入れようとするが、同時に労働者階級や貧民や先住民に与えられていた既存の特権を剥奪しようと試みる。こうした局面では、通常、右派が勝利をつかむことになる。左派が中間層を確保しようとする戦術は、支持基盤の拡大のみならず、敵を中立化させることが主要な目的となるであろう。

4 左派政権とグローバル資本:ブラジル左派政権の失敗から

最後に、最近の左派政権が陥った政治過程と状況を振り返るため、その典型例のひとつとしてのブラジルの事例を改めて考えてみる。

ブラジルは穏健的左派としてピンクタイドで重要な位置を占めていた。2019年1月に極右のボルソナロが政権に就いた。これに先立ち、労働者党のルーラ大統領の後を継いだルセフ政権が2016年の「制度的クーデター」で失職した。2003年1月に発足した労働者政権はここに退陣を余儀なくされた。

ルーラ政権は彼の前任者カルドーゾ政権の新自由主義政策を継承し、一方で労働者党とその支持基盤の要求を一定程度満たした。例えば、貧困層3600万人に対する貧困軽減対策で「新中間層」を拡大した。他方で、多様な収賄や政治的ポストの引き抜きを通じてビジネスと反対勢力を獲得するなど「プラグマティックな政治同盟」、「調停型戦略」の構築を追求した。この同盟と戦略は「鉱業-石油-農業輸出エリート」の経済的成功に依存していた。

輸出産業に対する政権の公的補助金がグローバルな商品市場の崩壊によって低下したとき、すべての資本家エリートは右派勢力に一体化した。ルーラ政権は完全に市場の諸条件やビジネス同盟に依存してきた「左派」体制であった。さらに、左派政権は、右派反対勢力と連携した裁判所、判事、検事、研究者からなる無傷で十分機能的な右翼的な立法機構と司法機構をそのままにしてきた。彼らは左派をターゲットにした「腐敗」調査を開設し、政権の議会多数派を掘り崩そうとしてきた。

ジェイムス・ペトラスはブラジル左派政権の「歴史的敗北の」理解に向けて鋭い問題提起をしている(Petras,2016)。左派の台頭と崩壊は歴史的な逆転であり、それは悲惨な戦略の体系的な分析を必要としている。左派の敗北は、背信的な同盟、腐敗した党官僚、富裕層と米国大使館により行なわれた陰謀による裏切りとして簡単に片付ける。

「左派の台頭と崩壊は歴史的な逆転であり、それは悲惨な戦略の体系的な分析を必要としている。左派の敗北は、背信的な同盟、腐敗した党官僚、富裕層と米国大使館により行なわれた陰謀による裏切りとして簡単に片付けることはできない。それらは結局、明らかに偽善的な弾劾手続きを通じてのクーデターに導いた。問われるべき本当の問題は次の点にある。すなわち、なぜ左派はこうした裏切りや背信を許し、立法的「クーデター」を高め、左派を敗走させる逆転に抵抗なしの指導の発展を許したのか。巨大な数億人の投票マシーン、大規模で経験豊かな労働組合機構、戦闘的な農村の社会運動、これらがひとつの闘争もなくどのように敗北できたのか。

ペトラスは、前述の状況を踏まえてブラジルの労働者政権の経験を以下のように結論づけている。

左派は民主的資本主義の神話を信じた。彼らはビジネス・エリートとの交渉が社会的平和を拡大できるとの信念を持っていた。それゆえ、彼らは多階級同盟やビジネスと労働者の戦略的妥協に導く階級利害の漸進的調停の綱領に基づき活動した。

ビジネスと資本主義エリートは、戦略的な攻勢を準備するために明らかに戦術的な短期的協定を結ぶ。彼らの忍耐強い長期戦略はその階級同盟を動員し、機が熟せば選挙過程を崩壊させることである。

左派政党は「資本家階級との一連の戦略的理解」の達成に依拠した。そこでは、両者はブラジルの商品へのグローバルな需要がピークのときに利益を得るであろう。だが、その利益とは、経済と国内市場の転換を基盤に民衆の支持を拡大したのではない。結局、彼らの「権力基盤」は解体され、その資本主義的「パートナー」と政治的「同盟者」は彼らを放棄した。そして、左派大統領は弾劾され追放された。

新自由主義が浸透しているグローバル資本主義の時代に、政治システムの上層をナショナルなレベルで確保するだけでは政治的・経済的な諸困難を克服できない。LA全域を横断する包括的な重層的ガバナンス構築の構想が追求されるべきであろう。もちろん、LAのピンクタイド諸国はベネズエラのチャベスを軸に米州ボリバール同盟(ALBA)、「カリブ連帯石油機構」(ペトロカリブ)「ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体」(CRLAC)などのリージョナルなレベルで試みを追求してきた。これらの試みは重要な経験の蓄積であった。とは言え、決定的に重要なことは、ナショナルなレベルでの実践であり、自律的な市民社会の構築や代替型の経済システムが改めて模索される必要があろう。

来る2023年は「モンロー主義」宣言200周年を迎える。トランプ政権はこれに向けて米州の覇権を再強化するため様々な攻撃を仕掛けてくる。保守的・右翼的政権への支援と介入も激しくなるであろう。そうした状況の中で、チリ市民による抵抗運動はとりわけ注目される。そして、国民投票を通じてピノチェット独裁下で作成された憲法の修正が求められている。

【参考文献】

ブラウン,ウェンディ(中井亜佐子訳)(2017)『いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃』みすず書房。

松下 冽(2019)『ラテンアメリカ研究入門──<抵抗するグローバル・サウス>のアジェンダ』法律文化社。

Petras,James(2016)“The Left: Business Accommodation and Social Debacle”

Robinson,William I.(2019)“Storm Clouds Over Latin America”

(2020/02/17脱稿)

まつした・きよし

1947年東京都生まれ。現在、立命館大学名誉教授・博士(国際関係学)。1970年早稲田大学法学部卒業。1985年明治大学大学院政治学専攻博士後期課程単位取得退学。和歌山大学教育学部教授、立命館大学国際関係学部教授を歴任。主な著書に、『現代ラテンアメリカの政治と社会』(日本経済評論社1993年)、『途上国の試練と挑戦――新自由主義を超えて』(ミネルヴァ書房2007年)、『現代メキシコの国家と政治』(御茶の水書房 2010年)、『グローバル・サウスにおける重層的ガヴァナンス構築』(ミネルヴァ書房2012年)、『ラテンアメリカ研究入門―<抵抗するグローバル・サウス>のアジェンダ』(法律文化社 2019年)など。

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 目 次
序  章 21世紀のラテンアメリカを考えるために
第1章 ラテンアメリカ―脱国民国家への胎動
第2章 新自由主義がもたらした問題群
第3章 変容するラテンアメリカの農村社会
第4章 分断される都市社会―排除と統合
第5章 「左派」政権の「挫折」と教訓
第6章 現代ラテンアメリカのポピュリズム
第7章 国家と社会を蝕む「新自由主義」という暴力
第8章 NAFTAに翻弄されたメキシコ社会
第9章 ポストNAFTAに向けたメキシコ社会の再構築
第10章 ブラジル労働者党政権の挑戦と挫折
第11章 多極化する世界秩序とラテンアメリカの選択
終 章 ポスト・トランプ時代に向けたラテンアメリカ

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『ラテンアメリカ研究入門―<抵抗するグローバル・サウス>のアジェンダ』
松下 冽著 法律文化社 2019/12 ¥2,860

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