特集 ● 混迷に"当たり前"を
沖縄県知事選 有権者は何を選択したのか
「基地か経済か」からの脱却を求めて
沖縄タイムス論説委員 知念 清張
「基地問題か経済振興か」「保守か革新か」「国防か親中か」。特にSNS空間での現職への攻撃は、本土から「誹謗中傷が雨あられのごとく」浴びせられた。沖縄県民は基地反対から脱却し経済の発展を望んだといった二者択一や、自身に都合のよい、分かりやすいワードやイデオロギーで今回の沖縄県知事選挙の結果を消化しようとすると、全体を見誤る。本稿では、沖縄県知事選挙の勝敗を分けた背景と、米軍による抑止力維持を盾に、長年県民の声に耳を傾けてこなかった政府の無責任な「負担軽減策」の実相も問いたい。
米軍普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古への移設(大型護岸や弾薬搭載エリアなど普天間にない機能が付加される)と、これ以上の「南西シフト」に反対する玉城県政からの転換は、新基地移設の推進だけでなく「南西シフト」強化、安保関連三文書の改定を目指す軍備強化路線に抗う沖縄の声が、かき消されたことを意味するわけではない。
古謝氏が圧勝
9月13日に投開票された沖縄県知事選は、新人で元那覇市副市長の古謝玄太氏(42)=自民、維新、国民、参政、保守、公明県本推薦=が、42万3124票と過去最多得票を獲得し、初当選した。3期目を目指す玉城デニー氏(66)は27万6060票で14万7千票余りの大差をつけた。玉城氏は新基地反対の「オール沖縄」を構成する立民、共産、社民、いのちや沖縄の政治勢力レキオ、社会大衆党から支援を受けた。これまでの知事選の最多得票は2018年の玉城氏の39万6千票だった。知事選の投票率は61.57%で、前回を3.65ポイント上回った。
各社が投票箱の閉まる午後8時に当確を「ゼロ打ち」するほどの圧勝だった。
古謝氏は県政史上最年少、1972年の沖縄の日本復帰後の生まれで初めての知事となる。5人の子どもを持つ現役子育て世代をアピール、若い世代になるほど支持が広がった。自民側は12年ぶりの県政奪還となった。
高市早苗首相が「政権基盤を占う」として、自民党を挙げて臨んだ。高市首相は、選挙から2日後に、古謝氏と面談し「経済や安全保障の面でも大きな勝利だった」と述べている。
中央政界で連立を離脱した公明支持層への悪影響や政党色を薄めたいという戦略から古謝選対は選挙戦で高市氏に沖縄入りを要請していない。古謝氏は普天間飛行場の辺野古移設を容認する。普天間の名護市辺野古への移設計画が具体化してから、知事選で政府の計画に容認の立場の候補者が当選したのは初めてだ。知事選の歴史を振り返る。1998年、3期目を目指した革新の大田昌秀知事を破った自民党が推した稲嶺恵一氏は「15年使用期限」と「軍民共用」を代替施設の条件としたし、後継の仲井真弘多氏も沖合移動などの条件を付け初当選、2期目は普天間の県外移設を公約に掲げて当選した。
古謝氏は、普天間の辺野古移設が政府のいう「唯一の選択肢とは思っていない」としながらも、国との裁判が終結していることと工事が進んでいるとして、「最も早い普天間の危険性除去策」と、計画自体は容認する。同時に、普天間の返還期日の明示を求めている。
古謝氏は政府の沖縄関係予算(沖縄だけにある特別な振興費ではなく他県と同じ枠組みの予算を内閣府が一括計上しているのに過ぎない)減額などの課題を指摘し、経済政策の推進を前面に押し出した。5万票程度を持つとされる下地幹郎元郵政民営化担当相が、告示直前に自民党本部主導による「政策協定」を結び、立候補を取りやめたことで潮目が変わり「保守一本化」の追い風が吹いた。
辺野古新基地建設反対の「オール沖縄」が支援した玉城氏は、中学生までの医療費窓口無料化など2期8年の実績を強調したが、支持が広がらなかった。
14年の知事選後、3期12年にわたったオール沖縄県政は終焉を迎えた。
最大の関心は「経済」
古謝氏の勝因は、前回までの知事選との違いは「基地問題」が、大きな争点にならなかったことだ。
沖縄タイムスと朝日新聞社、琉球朝日放送(QAB)が9月5日、6日実施した世論調査では、何を一番重視して投票する人を選ぶかを聞いたところ、「経済の活性化」が52%と最多だった。「人柄や経歴」19%、「基地問題」は3番目で15%と続いた。
玉城氏が当選した以降の世論調査では、「基地問題」は18年42%、22年32%と減少。一方、「経済の活性化」は18年35%、22年48%と比重を高めていた。
「経済の活性化」は4ポイント増えただけだが、「基地問題」が半減している。
男女ともに何を1番重視して投票するか聞いたところ、経済活性化を重視する割合が最も高く、男性56%、女性48%だった。普天間の辺野古移設に「賛成」は35%で「反対」が37%だった。「賛成」と答えた人の70%は経済活性化を選択し、「反対」の人の中でも経済活性化が最も高く39%だった。
全国的な物価高が続いている。離島県の沖縄は、さらに輸送費もかさむ。身近な物価の指標の一つとなる牛乳は、県産品だとファミリーサイズで350円から380円、本土産でも300円を超えるようになった。子育て世代に、負担は大きくのしかかっている。レギュラーガソリンは、1リットル当たり180円程度で、全国一高い水準だ。小さな離島ほど高くなる傾向にある。車社会の沖縄で、燃料費の高騰は、生活や産業のコストを押し上げている。
辺野古船転覆事故・荒れたSNS空間
NHKの出口調査によると、ことし3月平和学習に訪れた高校生を含む2人が亡くなった辺野古沖の船転覆事故で、その後の一連の動きを投票の際に考慮したか聞いたところ、「大いに考慮した」が24%、「ある程度考慮した」が37%で、合わせて61%にのぼった。「あまり考慮していない」が24%、「全く考慮していない」が15%だった。沖縄タイムスの調査でも「投票に影響した」と答えた人が36%いた。その多くが古謝氏へ投票したと答えている。
痛ましい事故が起きた責任については、船の運航団体に安全性を軽視した運用がなかったか、同志社国際高校の安全管理体制を含め、きちんと解明し、責任の所在を明らかにするのは当然のことだ。だが、玉城氏や県政は船の運用には関与していない。
しかし、事故後、船を運航するヘリ基地反対協議会に県が参加している、補助金を出している、など誤った情報が拡散した。また、ヘリ基地反対協議会の事故当日の会見を使い、実際にはなかった笑顔やたばこを吸う行為を合成・加工したフェイク画像が拡散された。
同協議会が「表現の自由を逸脱している」として、投稿者の誹謗中傷や名誉毀損行為に対し東京地方裁判所は発信者情報の開示を命じた。
玉城氏の立候補の表明は事故に配慮し4月下旬に延期するなど、影響は大きかった。
文科相が5月、今回の平和学習が、教育基本法の「政治的中立」に反していると認定してからは、全国の学校現場に平和教育萎縮の懸念が広がった。新基地に反対する運動までも攻撃する動画がネット空間で拡散され、玉城氏の演説中にはユーチューバーによる「人殺し」といった激しいやじが飛ぶ場面もあり、選挙運動そのものにも影響が及んだ。
交流サイトの利用が日常に溶け込む中で、異様さを際立たせているのが候補者に対する誹謗中傷や誤・偽情報の広がりだ。昨年の宮城県知事選ではSNSで誤・偽情報や誹謗中傷が飛び交った。選挙後のアンケートで投票した7割余りがこうした情報を見聞きし、うち半数近くが投票に影響したと答えた。
沖縄県知事選を巡るX(旧ツイッター)の投稿は、宮城県知事選の約3倍に上り、発信地の9割が東京など県外からだった。知事選では、基地負担の軽減を求める玉城氏の主張に対し、「反日」「中国の味方」などのレッテルを貼り、敵視する投稿も目立った。偽映像や、発言の一部を切り取って意味を変えた動画も拡散。玉城氏をローラー車で押しつぶす人工知能(AI)映像まで出回った。基地や米兵犯罪、環境汚染を押し付けられる沖縄の象徴として玉城氏は扱われている。批判的投稿は玉城氏に向けてのものが圧倒的多数だった。
広島修道大学の野村浩也教授は「日本人による沖縄人差別が今までで最も猛威を振るっている選挙だ」と指摘した。野村氏は「基地を押し付ける差別を行えば、反対されるのは当然のこと。それなのに、被害者の沖縄人を加害者かのように仕立て上げて攻撃している」と批判した(沖縄タイムス9月11日付)。
沖縄タイムスなど報道7社が合同で実施した当日出口調査で、投票でSNSや動画サイトの情報を重視したかについては「しなかった」が54%、「した」は39%。重視しなかった人の52%、重視した人の68%が古謝氏に投票した。
真実か否かに関係なく、刺激的な内容ほど、閲覧数が増え、それに伴い広告収入が増える現状は、民意を歪める恐れがある。
7月に改正公職選挙法と改正情報流通プラットフォーム対処法が成立した。SNS事業者に虚偽情報による悪影響を軽減する措置を義務付ける内容だ。ただ、実効性が疑問視されている上に、施行は来年3月で、今回の知事選には間に合わなかった。
「オール沖縄の衰退」と中道の混乱
12年、オスプレイ沖縄配備に反対する県民の声が巻き起こった。当時の翁長雄志那覇市長(故人)らが中心に保革を超えた動きにまとめ上げた。
多くの組織の意見の相違をオスプレイ配備反対と普天間飛行場の県内移設断念に集約し、超党派で翌年の建白書や東京行動などにつなげた。
「イデオロギーよりアイデンティティー」を唱えた翁長氏は、14年の知事選で圧勝。同年の衆院選でも「オール沖縄」候補が県内選挙区で全勝した。その後、沖縄関係予算は減額傾向となり県が求める3千億円には届かなくなった。勢力の一翼を担った保守政治家や企業グループが離脱し、影響力は徐々に弱まっていった。
県は辺野古新基地建設工事阻止の法廷闘争に踏み切った。司法も安全保障は国の専管事項との考えの下、門前払いの判決が続いた。
決定的だったのは、大浦湾で軟弱地盤が見つかり、7万本以上の杭を打ち込む地盤改良工事に伴う設計変更を県が認めなかったことを巡り、国が設計変更の承認権限を県から奪い、国が承認する「代執行」をしたことだ。県が求めた「県民の意思(民意)に反する工事強行」や、「県外移設の選択肢を排除する国の姿勢は容認できない」とする主張を、司法は認めなかった。国が地方自治体の事務を代執行するのは初めて。代執行によって、米軍基地を建設した例もない。県の権限を奪い、少なくともさらに十数年かかる辺野古工事を押し進める政府の政策を「公益」と認めた判決は地方自治を侵害し、県民の心に失望と深い傷跡を残した。
この23年末の「代執行」を境に、県民投票や3度の知事選などで示された新基地建設反対を前面に出しても、県民の支持を集めるのが、難しくなっていたのではないか。
中央の政治状況も逆風だった。今年2月の衆院選では自民などへの対抗を目指し中道改革連合が結成されたが、公明に配慮し、新基地建設についても賛否を示さなかった。政策面でのふらつきが「選挙目当ての結集」と見られ敗北した。
その影響を直接受け、オール沖縄を支えていた政治勢力の足並みが乱れ、県内4選挙区全てで自民党候補に議席を許す結果になった。
知事選挙は、全国から大きな注目を集めた。「オール沖縄」勢力が瓦解した今、その再生、保守側からも一定の支持を得られる、新たな革新・リベラル勢力の結集は、現時点では見通せない。まず、「オール沖縄」側に求められるのは、これまでの選挙、玉城氏の人気頼りだった知事選の総括である。「平和」や「辺野古新基地反対」という政策は大事だが、福祉や経済の豊かさを実感できるビジョンを多くの県民、特に若い世代にどう届けていくのか。玉城氏の選対には自然発生的に集まった女性や若い世代も少なからずいた。その芽をどう育てていけるのか、県議ら若い世代の台頭も欠かせない。
6党結集の危うさ
一方の自民側は、この間、首長選挙、県議会議員選挙で着々と自力をつけていた。
県内11市のうち、古謝氏支持を明言する市長は県都那覇をはじめ10市に及び、一昨年の県議選では推薦した自民公認20人が全員当選。県議会は野党中立で過半数を抑えていた。
今回古謝氏には、自民党、中央での連立は解消したものの公明党県本という従来の枠組みに加え、維新、国民、参政、保守の4党が加わった。国政与党と野党が結集したが、戦時中の「大政翼賛会」を思わせる、圧倒的な政党の基礎票と組織、資金力の違いは明らかだった。
昨年7月の参院選沖縄選挙区では「オール沖縄」勢力の高良沙哉氏が26万5千票で勝利し、「オール沖縄」の退潮に歯止めをかけたとされた。しかし、自民の奥間亮氏の23万1千票での敗北は、全国的な自民党への批判だけではなく、保守票が参政党に流れたのが響いた。この選挙で参政党の和田知久氏は12万6千票と予想を超える得票だった。
このため、古謝氏の選対は参政票の取り込みを図った。また、自民党本部の主導で、日本保守党の推薦も取り付けたという。
参政党の神谷宗幣代表は昨年、「日本軍が沖縄の人たちを殺したわけじゃない」と沖縄戦の史実を否認する発言をして、いまだに撤回していない。「スパイ容疑」などで、日本軍に虐殺された史実は、各地で実際にあったことで、県民の反発は強かった。
その神谷氏は、沖縄市での演説会場で「沖縄をよくするってことは国益にかなう」と発言。国益(本土)を守るために4人に1人の住民が犠牲になった、沖縄戦の記憶を呼び起こさせる発言には、批判が出た。古謝氏は、参政党とは、県民所得向上など7政策に限定して協定を結んだとし「政策協定は歴史認識について合意したものではない」との立場を示している。また、日本保守党の北村晴男参院議員は、古謝氏の総決起大会で「被害者意識に苛まれる県政」から「基地負担をポジティブに生かす県政に」と演説した。
日常的に、米軍による航空機騒音や墜落の恐怖、環境汚染など、国内の米軍基地の7割を押し付けられている県民から見れば「喜んで犠牲になれ」と受けとられかねない。
沖縄以外の知事選では全く争点にならない国益への隷従を差別的に要求する言説が広がっているように感じる。2年後の県議選で参政党は候補者を擁立するとみられ、こうした政党と古謝県政がどう距離感を取るのかも今後問われよう。
「反オール沖縄」で結集した6党態勢は、票を積み上げる上では、成功した。しかし、ガラス細工のような危うさで成り立っている。
「沖縄保守」か国のいいなりか
古謝氏は政府が「南西シフト」強化に当たり、玉城県政が慎重な姿勢を示していた平時には訓練を実施し、有事の際に自衛隊・海上保安庁が円滑に使えるよう整備する「特定利用空港・港湾」の指定に、同意する意向を示している。その面で、政府の防衛力強化に向けた動きが進むのは間違いない。
一方で古謝氏は辺野古「容認」の立場だが、当選後、記者団の取材に「直ちに県民多数が容認しているとは考えていない」と発言している。また、選挙期間中に報道された、嘉手納基地と普天間飛行場周辺の有機フッ素化合物(PFAS)汚染について在日米軍が、両基地が汚染源と認め日本政府に公表しても構わないと伝えていたにもかかわらず、政府が隠蔽していたことについて、「報道が事実であれば言語道断だ。非常に憤りを感じている」と表明した。県議会が汚染源対策や原因究明を求めていることに触れ、「県としても当然、日米両政府に基地内への立ち入り調査を求めるべきだ」と述べている。
沖縄において、特に安全保障という国益は、基地負担を抱えさせられた県民の「県益」とは常に衝突する。参政党、日本保守党、あるいは自民党を含めて歴史認識や「国益」を最優先にした政策を新しい知事に迫り、それを受け入れるのであれば、沖縄の世論は黙っていない。
「沖縄保守」という言葉がある。基地問題や沖縄戦の歴史認識に関わる事案などで「国益」と「県益」が対立する場合、「県益」を優先するのが、「沖縄保守」である。
新知事には、沖縄の「県益」、「県民益」を第一に考えた県政のかじ取りが求められる。
今回、古謝氏の政策で話題になったのが県民所得の倍増(手取り2倍増)だ。現在、1人当たりの県民所得は230万円程度だが、それを10年で500万円にするという。年間7%という高度経済成長期並みの経済成長がなければ達成できず、製造業がほとんどない沖縄では極めて難しい。仲井真知事(06~14年)が、一人当たりの県民所得を全国の中位に引き上げることを目指したが、現在でも全国最低水準であることを考えれば、どれほど困難な目標かが分かる。古謝氏は今後公約の実現可能性が厳しく問われることになる。
県民は「希望」を求めた
知事選の全国紙の論評などを読むと、県民が普天間を巡る国との対立や県民同士の分断に疲れたことを強調するものや、若い世代が基地から経済に関心が移ったとするものも目を引く。しかし、「疲れた」のではなく国に「疲れさせられた」のであり、「経済を選んだ」のではなく「経済を選ばされた」というのが正しい。
普天間返還合意から30年がたち、海兵隊は大規模な部隊を前線へ展開させる戦略から、小規模な部隊を分散させながら攻め込む戦略にかじを切っている。航空機も多機種使えることが望ましく、滑走路が1800メートルしかない辺野古は、海兵隊の戦略からその必要性は今や乏しい。米国防総省は日本政府が緊急時に備えた「長い滑走路を選定しなければ、普天間を返還しない」としているが、日本政府は国民にきちんと説明していない。沖縄本島に普天間の2800メートル級の滑走路は那覇空港しかないが、自衛隊戦闘機の事故やトラブルが相次ぐ中、民間空港へ攻撃されるリスクが増す米軍を受け入れることは難しい。
辺野古の新基地が完成しても、米軍が普天間を返還しない「普天間キープ論」も米軍内で台頭している。そもそも、国会で2兆円~3兆円に膨らむと県が試算する新基地の必要性を含めた議論が決定的に欠けている。政府の姿勢を容認してきたのは、全国の有権者である。
沖縄の海兵隊9千人をグアムなどに移転させる計画も24年末に先遣隊100人が移転して以来、今後の具体的なプロセスは示されず、米軍幹部から沖縄残留を求める声も発信されている。
有権者が長い葛藤の積み重ねの上に、求めたものは、「希望」である。今回の選挙結果は、政府の安全保障政策を信任した結果ではないことは、述べてきた。政府は辺野古の工事の遅れや普天間の危険性除去が進まない責任を反対する翁長、玉城県政に転嫁してきた。
古謝県政の発足直後に、米海兵隊員が那覇市内で起きた女性強盗殺人容疑で逮捕された。米兵の犯罪は増加傾向にある。実効性ある再発防止策が日米間で実施されるのか。事件への対応や普天間飛の返還条件を説明しない、返還期日を示さない(返還年限は幾度も先延ばしにされてきた)、不誠実なPFAS汚染への対応など、県民を軽視する対応を続ければ、政府への信頼は一層崩れ、古謝県政への県民の支持も失われかねない。
県民が求めたのは、政府に唯々諾々と従うのではなく、国との対話によって、基地負担の軽減と経済振興を実現するリーダーである。玉城知事は、最後の定例記者会見で、知事に就任する古謝氏に対して、「沖縄が歩んできた歴史や受け継いできた『沖縄の心』を尊重しながら県政運営に取り組んでいただきたい」と述べた
保守か革新か、そして世代に関係なく米軍基地が集中する上に、自衛隊基地の負担までが増す中で、基地負担の軽減と、二度と沖縄を戦場にするなという県民の負託は変わらない。
ちねん・きよはる
1998年沖縄タイムス入社。基地担当、北部支社編集部長、県政キャップ、社会部、政経部デスク、文化面デスクなどを経て論説委員
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