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否決された「武蔵野市住民投票条例」全文
昨年末、東京都武蔵野市議会で住民投票条例案が否決された。全国的に大きな話題となったが、中身に特別なことが含まれるわけでもなく、むしろ注目されたこと自体が異様だったと言ってよい。
条例案は、「年齢は18歳以上」「日本国籍を有する者または定住外国人」で「3か月以上武蔵野市の住民基本台帳に記録されている者」に投票権があるとされていた。外国籍でも日本国籍と同じく扱われることに、ネトウヨや自民党の右派など、排外主義者が猛反発したために、こうしたことになったのだ。ただし、今回の条例案にあったのは、「参政権」ではなく、投票結果に法的拘束力を持たず、「意見を表明する」制度に過ぎなかった。それも認めない程度の民主主義しか私たちにはない、ということだ。
全国的に見て、外国籍住民に投票資格を認めることは、まれなことではない。外国籍に投票権がある条例は43自治体にあるとのことだ。神奈川県逗子市と大阪府豊中市の2市は、武蔵野市の条例案と同じく、外国籍の人にも日本国籍者と同様の条件を認めている。
少子高齢化・人口減少社会で、今や外国籍の人たちの力がなければ日常生活にも困るようになってくる時代だ。もちろん、戦後長く日本に暮らす在日朝鮮人の皆さんのこともある。働き、税金を払いながら、政治に関われないことの方がおかしいと考えるのが普通だろう。「多様性を認める社会」などという掛け声が虚しい。
今回は日頃「永住外国人参政権」を認めるべきだ、と主張している公明党も反対にまわった。世の中全体の排外主義化、右傾化が大きく進んでいることが見えるし、それを煽る右翼的政治潮流の跋扈も見える。改憲勢力が力を強めている状況ともつながっているのだろう。
ともあれ、条例案そのものに接して、こんな普通のことが通らないことの意味を考えたい。(現代の理論編集委員会)
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