特集●コロナに暴かれる人間の愚かさ

労働者の支持するグローバリゼーションと自律

の時代に向けて (上)

パンデミック×ポピュリスト×政治経済学

同志社大学経済学部教授 小野塚 佳光

はじめに

2020年は、パンデミックが無ければ、どのような年であったのか? 米中の貿易戦争が激化する中で、不平等化の進む西側民主主義諸国が、2016年の衝撃に対する政治的な答えを出すはずだった。すなわち、2019年末にイギリスは正式にEUを離脱した。そして2020年11月に、アメリカ大統領選挙でトランプの再選が問われる。

民主主義体制は、確かにドナルド・トランプとボリス・ジョンソンの「ワン・ツー・パンチ」を受けて、ナショナリズムに苦しめられた注1。しかし、トランプとジョンソンが権力を得たのは、国際システムを支配したエリートたちの重大な政策失敗に対して当然に起きた反動を吸収したからだ。イラク戦争、ウォール街の規制緩和とその後の世界金融危機、そして1929年以来の大不況。イギリスも同様だ。

パンデミックは、そこに追加された究極のストレス・テスト、文明の破壊実験となった。

第1節 コロナウイルス危機

中国の巨大都市・武漢が1月23日から厳格な封鎖を命じられた(4月8日解除)。またイタリア北部やニューヨーク市の医療崩壊が報じられた。新型コロナウイルスとその感染拡大で、人類規模の危機が始まった、という衝撃を私たちは受けた。

コロナショック

ウイルス感染が拡大するスピードと致死率が恐怖をもたらす。

しかし、ウイルスの性格や変異の可能性など、不明なことが多い。その対策も、感染のスピードや死亡率が高い国や地域では、ほとんど戦争状態となっている。他方、感染拡大を抑制できた場合、検査・追跡・隔離が機能し、長期的に治療法・薬の開発、人工呼吸器、ワクチンの開発・供給が重視され、不況の緩和や企業・失業救済など、経済対策に向かう。

D.G.マクニールJr.によれば、伝染病と闘うには2つの方法がある注2。「中世の方法」と「現代の方法」だ。現代の方法では、病原体のパワーに人間が従う。感染拡大は避けられず、20世紀の科学で、すなわち、ワクチン、抗生物質、人工呼吸器、体温検知カメラなどで衝撃を緩和する。中世の方法は、黒死病の時代から伝わるもので、国境閉鎖、港湾の検疫、パニック状態にある市民たちを伝染病の満ちた都市に封じ込める。

市民の自由を制限するのは恐ろしいことだが、初期に実施されれば、命を救うことができる。マクニールはキューバのAIDS対策を指摘した。

1980年代にキューバとアメリカでAIDS感染が広がった。キューバは多くの兵士や医師をアフリカに派遣していたからだ。カストロの体制では、HIV検査が強制になった。すべての感染者は隔離キャンプに入れられた。しかし、キャンプにはバンガロー、庭園、劇団、医療ケアがあった。多くの食料があり、ゲイに対する差別も抑制されていた。

30年間で、キューバの死者は2500人以下だが、人口規模でほぼ同じ、ニューヨーク市では7万800人を超えた。アメリカでは、法的な権利を守るアプローチが取られた。HIV検査も強制ではなく、個別の相談を受けてから行われた。しかし多くの者はそれを避けた。感染源となった、ゲイたちの浴場を閉鎖するにも、長い論争を要した。

絶対王政や、経済成長を最優先する政府には、感染症対策を説得する十分な言葉を見いだせない。ワクチンと薬だけでは、パンデミックを耐えられない。言葉がなければ、激流の中で自分を保てない、と藤原辰史は歴史におよぶ人文学の力を重視した注3

2月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を警告した眼科医の李文亮が死亡した注4。彼は、「社会秩序を乱す」虚偽の情報を発信したという理由で、公安局の捜査を受けた。J.アンデリーニは、もしウイルスを早期に鎮圧できなければ、中国政府は「チェルノブイリの瞬間」を迎える、と警告した注5。支配者は官僚たちの嘘とお世辞に満たされて、現実を見失う。

連帯を問う

人類の連帯が試されている注6。富裕層は、貧困層、経済的に不安定な階層に連帯を示せるか? 若者は老人たちに連帯を示せるか? 豊かな諸国の人びとは、貧しい諸国の人々に連帯を示せるか? これら3つの問いに対して肯定的な答えがあるとき、パンデミックによるダメージや死者は最小限に抑えられるだろう。

人類がこの試験を落ちて、取り残された諸国の人々が深い心理的傷を負うことは、あらゆる過激な集団と新しい危機につながるだろう。それは世界のだれにとっても脅威である。貧しい諸国でパンデミックが収まらない限り、ウイルスは豊かな国で再発する。IMFなど、国際機関が流動性を供給するだけでなく、債務を免除し、彼らが必要とする医薬品と設備、食糧を供給することだ。

壊れやすい、紛争にまみれた、われわれのシステムを、深い連帯に基づくシステムに代えるべきだ。それは、効率性と短期的利益に奉仕するのではなく、経済的・世代的・国際的な連帯による持続可能なシステムだ。

パンデミックが起きる前に、統治・政治が変質していた注7。アメリカ、イギリス、ブラジルは最初にCOVID-19が襲った国ではない。彼らには準備する時間があった。これらの土地を支配していたのは、メディアの印象を気にするが、専門家の意見を十分聞かない、右派のナショナリストたちだ。

ソーシャルメディアとノンストップ・ニュースの時代に、関心を最も多く集める政治家が支持されるようになった。かつて、政治家の職務は統治することと考えられた。しかし、新しい男たちは「コミュニケーター」であり、彼らのゲームは選挙である。統治は退屈な終章でしかない。閣僚たちは何でも支持するイエスマンだ。彼らは忠誠心で選ばれる。多様性の重視など吹き飛んだ。トランプとボルソナーロは裕福な白人に囲まれ(親族であれば理想的だ)、ジョンソンの仲間は、私立学校とオックスフォード出身の男たちだ。

彼らは選挙で勝利し、多くの有権者たちがどんな嘘でも信じることを示した。分断された政治空間では、支持者たちが自分で決めた指導者に反対するより、その無能さを容認した。たとえ、自分の祖父母が、彼らの無能さによって広められたウイルスで死んだとしても。

第2節 ポピュリストとパンデミック

ポピュリストたちは大国の政治さえ乗っ取ることができる。2016年6月に行われたイギリスの国民投票、11月のアメリカ大統領選挙で、それは衝撃的な形で示された。

ブレグジット×トランプの時代注8

2016年、EU離脱を問う国民投票で、ボリス・ジョンソンと仲間たちは、離脱すれば毎週3億5000万ドルをNHS(国民保健サービス)が利用できる、と嘘の宣伝をした。また、イギリスがEUに加盟していれば、トルコも加盟して大規模に移民を送り込むぞ、と恐怖をあおった。ドナルド・トランプの暴言、醜聞については、わざわざ挙げるまでもない。

なぜ民主主義的統治はこれほど深刻な失敗を繰り返すのか。

ブレグジットは、EUの三重の危機に対する反発だった。2010年、ユーロ圏のギリシャ政府債券が支払い不能であることに、金融市場はパニックになった。これに対するEU諸国の対応は遅れた。2014年、ウクライナの政変とEU加盟の動きをロシアがけん制し、クリミアを併合した後、ウクライナ東部に侵攻した。2015年、シリア難民がEU、特にドイツをめざして流入した。EUの北西端に位置するイギリス有権者にとって、こうしたEUの危機は離脱を支持する背景であった。

金融危機、ロシアの特殊部隊や情報かく乱、難民流入は、いずれも国民国家の民主主義が一段の深化を求められた事件であった。

国民投票や大統領選挙、2大政党制は、二極化する傾向が強く、投票制度と政治の失敗を招いた。すなわち、1票でも多ければ勝利でき、1人でも多く当選した側が権力を握る。それは政治的なロシアン・ルーレットだ。

EU離脱がイギリスにどのような経済的利益、戦略的な地位をもたらすのか。重要政策をめぐって国益を議論するより、有権者に影響を与えるアイデンティティー政治、文化戦争が強まった。部族化する政治集団の失敗は、逆にメディアへの攻撃、フェイク・ニュース、「オルターナティブ・ファクト」(真実の死)を公然と主張する権力者を生んだ。

なぜ有権者はポピュリストを支持したのか。政治の異端として、過激主義として、デマゴーグや狂信的集団はつねに存在する。政治の主流には決して入れない、権力から排除された者たちだ。時代のダイナミズムを形成する、いくつかの波が重なり合って、彼らを国家権力や国際秩序の頂点にまで押し上げた。

超富裕層やGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)に代表されるデジタル大企業は、タックス・ヘイブンを利用して、ほとんど納税しなくなった。政府は競い合って法人税を引き下げ、優遇策を取って多国籍企業の投資を誘致している。他方で、住民には消費税を増税し、富裕層に有利な減税を行った。必要な公共サービス(教育や医療、警察)の質は、「財政再建」や「規制緩和」、市場競争を理由に低下した。

民主主義の溶解

民主主義の機能不全をもたらしたのは、グローバリゼーションと世界金融危機であっただろう。政治家たちは、貿易自由化や金融自由化を進めながら、同時に、必要な改革は実現しなかった。生活水準が停滞し、あるいは悪化した人たちは、政治指導者が分かっていないのか、嘘つきなのだ、と結論した注9。政府は、金融機関を救済して大恐慌を再現するのは回避した。しかし、住宅の差し押さえは続いた。十分な回復が実現しないまま、早くも財政緊縮策に転換した。

金融グローバリゼーションと危機の力学は注10、コロナショックによって、はるかに深刻な形で、再現される。

H.ジェイムズは、2019年末に、2010年代を「秩序崩壊と不信の時代」とよんでいた注11。インフレーションは約束や希望の実現を、ディスインフレーションやデフレーションは物価の下落と夢の挫折を予感させる。

しつこく続くディスインフレーションは、ナポレオン戦争や第1次世界大戦後の財政均衡を急ぐデフレーションとは違うものだった。グローバリゼーションと技術革新が主な原因であっただろう。しかし人びとは、政策の失敗、特に金融危機後は政府の間違った経済管理とみなした。

アメリカの分裂

トランプはコロナウイルスを軽視し、間違った情報を広めて混乱させた結果、アメリカに世界最多の感染者数を生じている。

それでもトランプは、議会が超党派で対策を打ち出せないよう、協力を妨げている注12。感染者の増大に苦しむニューヨークなど都市圏が、民主党の固い支持基盤であるからだ。共和党支持者が多い地方では感染者が少ない。彼らはむしろロックダウンによる経済活動の制限に強く反対する。より多くの感染者か、より多くの失業か。そのような対立を煽れば妥協はむつかしくなる。

アメリカは今も民主主義国家か。E.ルースは全く違うものを観る注13。Fox Newsで、トランプの娘の夫であるクシュナーは、アメリカ経済の回復を約束し、トランプ政権のコロナウイルス対策を「大成功」と語ったからだ。

アメリカのウイルス対策をまねる国などどこにもない。外国の指導者たちは、アメリカ大統領と話すために、彼の家族を介して話す必要がある。クシュナーは、大統領だけを聴衆にして説明している。パンデミック対策の経験もないのに、政権内の「影のコロナウイルス対策班」を率いた。そして未完成の中東和平案と同様、彼のビジネス仲間やマッキンゼー・コンサルタントを招き入れた。

世界はこれまでにない異なるアメリカに直面している。外国指導者や州知事たちが、そして中国も、クシュナーを大統領の関心につながる者とみなす。サブサハラ・アフリカでしか見られないような意思伝達方法だ。COVID-19は、アメリカを家産制国家・族長支配に戻した。

ウイルスは国境を尊重しない。ウイルスはポピュリストの指導者たちが振る反移民の旗を気にしない。世界に新型コロナウイルスが広まるのは、相互依存の証である。EU離脱がウイルスを遮断することはない。トランプが築く「メキシコ国境の壁」も、ジョンソンが約束した「主権を取り戻す」ことも、無意味で、高価なことが判明する注14

第3節 政治経済学の危機

資本主義は機能しない。民主主義も機能していない。グローバルな市場統合が約束したはずの平和と繁栄は世界金融危機に至った。今や、諸大国が軍事力を行使すると脅している。

パンデミックが起きる前に、すでに政治経済学は多くの問題を抱えていた。それを解決できる新しい思想や仕組み、正統性をどうやって再建するか。不平等。失業。超富裕層。ギグ・ワーカー。金融危機と救済、規制。量的緩和。債務依存。財政赤字。ユーロ危機。貿易摩擦。移民・難民。インターネット。GAFA。デジタル通貨。気候変動。

ポピュリストは解決策を持たない。しかし旧秩序を激しく攻撃し、正統性を失わせた。

内外の矛盾

米中のデカップリングをトランプ政権は推進する。しかしS.S.ローチ注15は、貿易不均衡の中身をアメリカの慢性的な財政赤字の視点から理解した。

現代の世界貿易は2国間ではない。多国間のグローバル・ヴァリュー・チェーン(GVC)によって生産された製品の輸出入に変わった。アメリカの経常収支赤字は貯蓄不足、特に、慢性的な財政赤字に責任がある。もし米中貿易戦争を激化させてデカップリングを迫るなら、その結果は、中国の貿易黒字がアジア地域全体に分散するだけである。

米中の共棲関係(いわゆる「チャイメリカ」)は変質し、アメリカの消費者は保護主義の高いコストを支払わされる。財政赤字を続け、中国を非難するばかりの政治家たちと、輸入品による製造業の雇用減少と不確実さ、低賃金に苦しむ中産階級との、政治的デカップリングが問われてくる。

メイン・ストリートとウォール・ストリートは、まったく違う星にある。株式市場が連銀に頼るほど、経済は高成長や雇用をもたらすものではなくなる。

アメリカ史上かつてないほど長い好景気を、トランプがあたかも自分の成果であるかのように自慢していた。それは債務の山を築き、融資の質を悪化させ、長期にわたる低金利によって、持続不可能な水準まで資産価格を押し上げた結果であった。パンデミックの影響は、最初、まったく無視されていたが、2月末から株価が下落し、3月にかけて約1万ドル暴落した注16

ウォール街の豊かさと経済状態とを同一視するのは、トランプの醜い現実感覚を示すものだ。株価が企業や経済の価値を示す真の指標である、というのは神話でしかない。

パンデミックは世界経済をシャット・ダウンし、膨大な数の労働者たちが自宅待機になり、あるいは解雇された。遠隔にはできない業種が顧客を失った。ほとんどのビジネスの将来は悲惨なまでに不確実だ。他方、株価指数は暴落した後、上がり続けた。

急速なV字回復、救済のために、連銀が繰り返し流動性を供給した。しかし、長期的な成長モデル、持続可能な、本来の金融安定性、社会によって広く支持された株式市場にはつながっていない。生産性は上昇せず、高成長や雇用創出が持続することはない、とM.A.エラリアンは批判する。注17

株価は醜く歪んでいる、とA.ポーゼンもいう。企業の利潤は市民の福祉や経済全体の状態と何の関係もない。すべては政治と技術変化がもたらした再分配である。規制緩和と、規制を守らない企業で利潤が増え、労働者と消費者は市場支配力を失った。インターネット経済のネットワーク効果が少数の企業に巨額の利潤をもたらし、中小企業や新興企業は衰退した。パンデミックはこれらを強めたのだ。これを変えるのは、課税と規制の強化である。

新型コロナウイルスによる需要の急激な落ち込みは、不況を回避するための積極的な財政・金融政策を必要としている。その際、通貨戦争を避けるため、協調して刺激策を取ることが重要だ。

衝撃と恐怖

稲妻のようなスピードで、巨人が駆けるように、ウイルスは世界経済を破壊した。これに見合う「衝撃と恐怖」で危機を克服するしかない注18。実際、各国は目のくらむような対応策を並べた。政策担当者たちは、急速に行動し、タブーを打ち破る必要がある。結局、政府こそが最後の保険、最後の貸し手、最後の購入者であり供給者でもある。

S.カプーアとW.ブイターは、GDPが10%から20%も落ち込む、と予想する。あるいは、もっと大きいかもしれない。これは政府の歳入に巨大な穴をあける。

P.デ・グラウエは、マクロ経済的ソーシャル・ディスタンシング、を求める注19。需要と供給とが同時にショックを受けた。感染拡大とそれを予防するために、財・サービスの供給を止めたからだ。誰もが所得を失い、スパイラルを描いて急激に不況になる。

この過程でドミノ効果が生じる。企業は債務を抱えており、売り上げがなくなれば倒産する。その企業に融資していた銀行や他の貯蓄機関が資産を失う。銀行危機を起きるかもしれない。政府は危機を回避しようとする。企業を支援し、労働者を支援し、さらには銀行も救済する。ところが、このとき政府の税収も急速に減少していく。政府債務が爆発的に増大するのである。

2008年の世界金融危機では、金融市場のショックが実物経済におよんだ。今回はその逆である。崩壊のドミノを止めるのは、今回も政府と中央銀行である。政府は支援策を拡大するしかない。コロナショックの深刻なイタリア、スペイン、フランスは、政府債務の支払い不能を懸念した2010-12年のユーロ危機と重なっている。ECBは財政赤字を直接融資することが求められる。

財政緊縮の要求は、その負担をめぐって政治が混乱するなら、ユーロ圏経済の不況につながる。世代間で不当な再分配をもたらし、将来世代に大きな負担を押し付ける。むしろ、コロナウイルス危機に対する政府支出は、中央銀行からの貨幣発行で賄うべきだ。S.カプーアとW.ブイターは、中央銀行がヘリコプターでばら撒くように貨幣を市民の口座に供給する政策、そして、IMFがSDRの新規発行によって発展途上国を支援する政策を支持する。

(以下、次号に続く)

 

【脚注】

注1 Michael Hirsh, "Why the Liberal International Order Will Endure Into the Next Decade," Foreign Policy, Dec 27, 2019.

注2 Donald G. McNeil Jr., "To Take On the Coronavirus, Go Medieval on It," NYT(New York Times) Feb. 28, 2020.

注3 「「人文知」軽視の政権は失敗する 藤原辰史さん寄稿」朝日新聞デジタル2020年4月26日

注4 「新型ウイルス、早期警鐘の中国人医師が死亡 自身も感染」BBC NEWS JAPAN, 2020年2月7日。この記事によれば、当時、中国の感染者数は28000を超えた。次に多い国は、クルーズ船内で感染が広がった日本(45)、他にはアメリカ(12)、ドイツ(12)、台湾(11)、イギリス(3)、イタリア(2)などであった。

注5 Jamil Anderlini, "Xi Jinping faces China’s Chernobyl moment," FT(Financial Times) February 10, 2020.

注6 Kemal Derviş, "The COVID-19 Solidarity Test," PS(Project Syndicate) Mar 31, 2020.以下では、Project SyndicatedをPSと略記する。

注7 Simon Kuper, "The politicians who played the Covid 19 crisis badly," FT July 2, 2020.

注8 詳しくは、小野塚佳光著『ブレグジット×トランプの時代 金融危機と民主主義の溶解』萌書房、2020年を参照。

注9 Joseph E. Stiglitz, "How Trump Happened," PS OCT 14, 2016.

注10 小野塚、前掲書、第6章参照。

注11 Harold James, "Loser Teens," PS Dec 27, 2019.

注12 “Lexington: The paradox of the Pandemic,” The Economist, April 18th 2020.

注13 Edward Luce, "The golden age of Jared Kushner," FT April 30, 2020.

注14 Philip Stephens, "Coronavirus lays a political minefield," FT March 5, 2020.

注15 Stephen S. RoacH, "The Myth of Global Decoupling," PS, Jan 3, 2020.

注16 NYダウは、2万9551ドル(2/12)、2万8992ドル(2/21)、2万5409ドル(2/28)、1万8591ドル(3/23)、2万2552ドル(3/26)、2万7572ドル(6/8)と推移した。

注17 "Why Are Stocks Soaring in the Middle of a Pandemic?" Foreign Policy MAY 29, 2020.

注18 Sony Kapoor, Willem Buiter, "To fight the COVID pandemic, policymakers must move fast and break taboos," VoxEU.org, 06 April 2020. また、Martin Wolf, "The great interruption continues," FT JULY 1 2020. 参照。

注19 Paul De Grauwe, "The ECB Must Finance COVID-19 Deficits," PS Mar 18, 2020.

おのづか・よしみつ

1959年生まれ。同志社大学経済学部教授。専門は国際政治経済学。著書に、『グローバリゼーションを生きるー国際政治経済学と想像力』(萌書房、2007年)、編訳『国際通貨制度の選択―東アジア通貨圏の可能性』(J.ウイリアムソン著、岩波書店、2006年)、『平和を勝ち取るーアメリカはどのように戦後秩序を築いたか』 (J.ラギー著、前田幸男と共訳、岩波書店、2009年)など。

 

『ブレクジット×トランプの時代』(小野塚佳光著/萌書房/2020.4/2640円)


目 次

第1章 ひとつの冒険

第一節 大きな変化の時代

第二節 キューバ革命からオバマ訪問まで

第三節 ベルリンの壁崩壊後の世界

第四節 リー・クアンユーのグローバル国家

結  び

第2章 ブレグジットは起きた!

第一節 ブレグジットとは何か?

第二節 ブレグジットはなぜ起きたのか?

第三節 ブレグジット後の政治

第四節 国民的な政治の限界

結  び

第3章 タックスヘイブン

第一節 富と権力の集中

第二節 寄生虫の生態

第三節 脱税のイデオロギー

第四節 富と国家の歴史的攻防

結  び

第4章 ポピュリズムの広がり

第一節 アメリカの殺戮を終わらせる

第二節 ポピュリズムの広がり

第三節 民主政治の周辺において

第四節 ポピュリストのダイナミズム

結  び

第5章 地政学と大国間秩序

第一節 ベルリンの壁崩壊と地政学

第二節 大国による秩序の転換

第三節 北朝鮮の核と戦争シナリオ

第四節 封じ込めによる平和か、統合か

結  び

第6章 世界金融危機

はじめに

第一節 金融危機の歴史

第二節 ブレトンウッズ体制とその解体

第三節 世界金融危機をもたらした貪欲

第四節 金融グローバリゼーションの改革

結  び

第7章 時代のフロンティアで

第一節 日本型資本主義とその衰退

第二節 成長と民主主義の動態

第三節 グローバリゼーション・サイクル

第四節 民主主義のフロンティア

特集・コロナに暴かれる人間の愚かさ

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