特集●日本を問う沖縄の民意
トランプに痛撃、再選さらに困難に
モラー報告書がメディア報道を裏付け、命運決める中間層の取込
みに打撃
国際問題ジャーナリスト 金子 敦郎
米大統領選挙には最後まで何が起こるかわからないという前提条件がある。だが、「ロシア疑惑」に対するモラー特別検察官の捜査報告書の内容が一部を除いて公開されたことで、トランプ大統領の再選は極めて難しくなったといって間違いない。捜査報告書はトランプ氏が米国という民主主義国家の大統領には全くふさわしくない人物であることをはっきりさせた。トランプ氏が「フェイク・ニュース」と決めつけてきた米主要メディアの報道はほとんど正確だった。
この2点が報告書の核心である。これによっても「信者」といわれる固いトランプ支持層が大きく動揺することはあるまい。しかし、トランプ氏が再選を果たすにはトランプ対野党民主党の鋭い対立のはざまで状況を注視してきた中間層の票を大きく上乗せする必要がある。報告書の内容はそれをほとんど望めなくしている。
「建国の遺産」どこに?
2016年大統領選挙で異端児トランプ氏は、共和党主流派を「罵倒」しながら党予備選を勝ち抜き、その勢いに乗って大統領選で勝利、さらに大統領権力を駆使して議会共和党を支配下におさめた。しかし、党内にはなおトランプ氏になびくことを潔しとしない有力な党本流、あるいは穏健派勢力が残っている。彼らはモラー報告書をどう受け止めたのか。
M・ロムニー共和党上院議員のコメントを紹介する(ワシントン・ポスト紙電子版から)。同氏はオバマ大統領再選の2012年大統領選挙で善戦したが敗退、2008年にも党予備選挙で保守派マケイン氏に惜敗して党指名を逃した。だが、党穏健派有力リーダーの1人。2016年大統領選でトランプ候補を詐欺師と非難したが、2018年中間選挙で上院選に出馬、和解したとみられていた。
ロシア情報機関がトランプ候補(共和党)の当選を後押しするため、民主党全国委の内部情報をハッキング、ウイキリークスと組んで対立するクリントン候補(民主党)に不利になる情報をネットに拡散させた「ロシア疑惑」で、報告書はトランプ氏とその陣営が共謀した証拠は不十分と判断した。トランプ大統領が特別検察官の捜査を妨害した疑いにつては、報告書はその「状況証拠」10 項目を列挙したが、現職大統領は訴追しないとする司法省の慣行を受け入れて、有罪か否かの判断を議会にゆだねた。
ロムニー氏はいずれの疑惑でもトランプ氏が訴追を免れたことは「グッド・ニュース」と評価した。どちらかでも訴追されれば、民主党が本気で大統領弾劾に動く可能性が高く、共和党も大きな打撃をこうむるので、胸をなでおろしたということだろう。だが、そのあとにコメントがこう続く。大統領をはじめとする政権トップの連中の広範かつ邪悪な不正直と考え違いに吐き気を催している。この報告書を読むことは、我々が建国の父たちの熱望と理念からいかに遠く外れたところに迷いこんでしまったかを冷静に知ることである。
選挙介入は「戦争」ではないのか
D・ブルックス氏はニューヨーク・タイムズ紙コラムニスト。穏健保守を自任している。リベラルな同紙の「意見と論評欄」に保守派代表として定期的に寄稿している。ブルックス氏の4月20 日付コラムは危機感にあふれていた。
コラムはロムニー氏と同じように、トランプ氏を建国の父が築いた米国の統治システムに対する脅威ととらえる。この統治システムは公平さ、制度への尊敬、公的機関は個人のおもちゃではない、などの価値観の上に成り立っているが、トランプ氏はこれらを踏みにじり、大統領権力を乱用して特別検察官の解任を図るなどの捜査妨害を図ってきた。法律的にはどうあれ、常識ではトランプ氏の捜査妨害は明らかではないかという。
ブルックス氏はロシア情報機関の選挙介入も証拠不十分では済まされないと主張する。報告書によれば、トランプJr.を含めたトランプ陣営のメンバーとロシア(情報機関など)、ウイキリークスとの間に同じ目的(米国の選挙結果を操作する)を追求する作業グループが形成されようとしていたことが明らかにされている。これは建物に対する爆撃や市民に対する銃撃といった形ではないが、米国の民主主義社会の基盤に対する戦争行為ではないのか、と。
この危機感をさらにかきたてるかのようなトランプ氏の疑惑を5日後のニューヨーク・タイムズ紙が報じた。トランプ氏の難民政策に不満で、4月初め国土安全保障長官を解任されたニールセン氏は、ロシア情報機関が2018年の中間選挙からさらに2020年の大統領選挙に向けて同じような介入工作の準備を進めているとして、ホワイトハウスのマルヴァニー首席補佐官に閣僚級の対策会議を開いてほしいと提案した。
しかし同首席補佐官は、大統領はロシアの選挙介入問題を広く取り上げることは自分の大統領選での勝利の正当性を問題視することと同じと受け取るといって応じなかった。ホワイトハウス幹部の1人によると、同首席補佐官は、これは小さな問題で自分のレベルで扱うことはないといっている。
特別検察官は公正なレフリー
トランプ大統領は就任からの2年間(今年2月まで)で、虚偽発言ないし誤解を招く主張を8158 回行った(ワシントン・ポスト紙のファクト・チェック)。その一方、自分の気に入らないメディアの報道はすべて「虚偽」「でっち上げ」「陰謀」と否定、こうした報道をするメディアは「国民の敵」と攻撃してきた。トランプ氏はモラー報告書についても、自分に都合の悪いことはすべて民主党員の捜査官が書いたと切り捨て(モラー特別検察官は共和党員)、これで「完全な潔白」が証明されたといって、疑惑を報じてきた伝統メディアに対する勝利宣言を行っている。
ブルックス氏はこうしたトランプ氏に対して、社会にはことの良い、悪いを決めるルールがあり、それを判断する公平で正直なレフェリーがいるのだが、トランプ氏はすべての権力は自分のものだと思っていると厳しく追及するとともに、モラー特別検察官は公正なレフリーだったと報告書を高く評価している。どちらの主張が事実かという勝負で、公正なレフリーがトランプ氏の「ツイート」ではなく「国民の敵」の報道に軍配を上げた。2年後の大統領再選を目指すトランプ氏にとっては大きな痛手である。
「中間票」の行方
モラー報告書の公表についてのロムニー、ブルックス両氏のコメントは、民主党支持層やリベラルな人たちのトランプ批判と大方は重なっていて、彼らの投票行動に直接影響を与えるというものでもないと思う。「トランプ信者」もトランプ絶対支持のFOXTVニュースやネット情報しか見ないから、多分、大きな影響は及ばないだろう。しかし、過去の何回かの大統領選挙の結果を冷静に分析すれば、勝敗を決めるのは米国政治を2分してきた共和、民主両党の固定的な支持票(一部非党員も含む)ではなく、5%前後とみられる中間層の票の行方という現実がある。
21世紀に入ってからの5回の大統領選挙で、共和、民主両党候補が獲得した一般得票数の差(%)は、▽2008年オバマ53-46マケイン、▽2012 年オバマ51-47ロムニー、▽2004年ブッシュ51-48ケリー。一般投票で多数を獲得したが選挙人獲得数で負けたケースの▽2000年ブッシュ48-48ゴア(ゴアが50 万票上回る)、▽2016年トランプ46―クリント48(クリントンが300万票上回る)。
これを見れば、2008年のオバマ大勝は例外的で、両党とも46 ないし47%の固定票を持っていて、その上に5%前後の票を上乗せできるか否かが勝敗を分けている(『現代の理論』デジタル18号2019年3月の拙稿『「トランプ再選」はあるか』参照)。
トランプ氏の当選は一般投票でクリントン氏に300万票近い差をつけられながら勝つという異例のケース。中西部の工業地帯がグローバリズムの繁栄から取り残された不満から、もともとは民主党支持だった労組票などがトランプ候補に乗り換えた。1票の移動は2票差を生む。しかし、2018年の中間選挙では、この「乗り換え票」にも変化が起きて民主党が圧勝している。3年ごとに州代表を選ぶ上院よりも地域ごとの選挙区選挙の下院選では政治、経済、社会の情勢が反映しやすく、選挙戦の高揚あるいは低調によって投票率も変動し、「乗り換え票」も起こりやすいとされている。
モラー報告書の内容、それに対するロムニー、ブルックス両氏のコメントは「流動」性のある中間層にはそれなりの影響力、それもトランプ離れにつながる方向に働くとみるのが自然だ。
「Z世代」はリベラル・反トランプ
もう一つ、トランプ氏にとっては嫌な動きがある。リベラル寄り、反トランプのスマホ育ちの若者が発言力を持ち始めていることだ。ジャーナリスト、政治学者、社会学者らの間で2年ほど前から、これまで一番若い世代とされた「新世紀世代」(1981-96年生まれ、23-38歳)に代わる新しい世代が生まれているとの議論が交わされてきた。社会・政治問題や人口動態に関する調査機関であるPEW調査センターは2018年、13~17歳の少年・少女920人、18歳以上の成人11,000人(概数)を対象にオンライン調査を実施、その結果を2019年初めに公表するとともに、1997年以降の生まれ、年齢では22歳以下を「Z世代」と名付けた。
PEWリサーチ調査をもとに各世代の特徴を見ると、X世代(1965-80年生まれ,39-54歳)を中間点として、右側に保守寄りのベビーブーマー世代(1946-64年生まれ、55-73歳)と沈黙世代(1928 -45年生まれ、74-91歳)が位置。共和党支持層と重なっていると思われる。左側の新世紀世代とZ世代がリベラル寄りで、こちらは民主党支持層と思われる。しかし、分厚い同調査を詳しく分析したニューヨーク・タイムズ紙によると、Z世代の若者の間では「新世紀世代」よりもはっきりした左(リベラル)への傾斜がみられ、その中には一般的には保守的なカトリック教徒や共和党員も相当数含まれているという。民族・人種、性的少数派などの問題では党派を超えて多様性の支持者が多く、政党支持では民主党寄り。トランプ大統領支持は30%と低い。
スマホ世代の行動力
Z世代のもう一つの特徴は、行動力に富んでいることだ。2011年秋、富を独占する1%に対して貧困にあえぐ99%が「ウォールストリート占拠」を掲げたデモを全米で展開したが、これは一時の花火に終わったように見える。
それから7年後の2018年2月、フロリダ州パークランド、M.J.ダグラス高校で19歳の元生徒が半自動小銃を乱射し、生徒や職員17人が死亡、十数人が負傷した。この種の銃乱射事件が続発しているにも関わらず、全米ライフル協会(NRA)の圧力で政府や議会が必要な対策を怠ってきたことに対して、生徒が抗議に立ち上がった。彼らはZ世代、スマホを自由に操る。全米の高校に呼びかけて1ヵ月後に首都ワシントンをはじめ全米3000校以上、18万5000人が参加する「命のための行進」を掲げた抗議行動を実現した。
高校生のこの行動は国際的にも大きな影響を与えた。3月15日に米国をはじめ世界各地で同時に温暖化対策の強化を求めるデモ行動が行われたが、このきっかけはスウェーデンの女子高生が1人で始めた抗議の座り込みだった。しかし、調査結果は人種問題や男女問題でトランプ氏の強固な支持層とされるキリスト教福音派(右派とも呼ばれる)よりは、ずっと穏健な立場をとっていることを示している。
Z世代は6,800万人、米総人口の 22%を占め、かつてのベビーブーマー世代に次ぐ大所帯。トランプ支持率が高い高齢者の数は自然減をたどる一方で、Z世代の有権者は増え続ける。トランプ氏がZ世代票を民主党に抑えられたとすれば、再選は難しい。
歴史を見ると、それぞれの時代にはその時代の特徴を反映した世代が形成される。米国ではこうした時代の変遷をとらえて、第2次世界大戦の前夜からから現在にいたる約90年の流れを世代分けで説明してきた(末尾に註)。
「トランプ・サプライズ」?
1年後の2020年5月、大統領選挙まで半年。民主党の指名争いがヤマ場を迎えているだろう。20人を超える候補がどこまで絞りこまれているのか。民主党では無名候補が予備選が進むにつれて勢いをつけ、ホワイトハウス入りしたケースがよくある。1976年のカーター、1992年のクリントン。2008年のオバマもその1人に上げていいだろう。
決め手になりそうな候補が出てこない混戦の模様見をしていたバイデン前副大統領が4月下旬に出馬宣言、76歳の中道バイデン氏と77歳の社会民主主義者のサンダース氏が世論調査支持率のトップを争う展開。トランプ氏も72歳だが、2人は当選しても1期中に80歳を超える。バイデン氏は政治家として経験豊かな中道の現実派。信頼感、安定感も十分で、トランプ氏に勝てる候補とされる。だが、バイデン氏を超える若手が誰も躍り出てこないとすれば、民主党の活力に疑問がわく。
共和党ではトランプ氏が楽々と再選への道を走っているとは思えない。「ロシア疑惑」の次は「ビジネス疑惑」である。大統領は税金を払っているのか。大統領権力はファミリー・ビジネスにどう利用されているのか。大統領を弾劾裁判にかけようとする民主党の動きもくすぶり続けている。トランプ氏は防戦に追い込まれている可能性が高い。
それでも共和党予備選挙に内部からトランプ氏にとって代わるという挑戦者が名乗りを上げている可能性は低い。トランプ氏の大スキャンダルが発覚といった事態が起きていれば、代わりはペンス副大統領だろう。
トランプ氏が再選は困難という事態に追い込まれたとき「何」が起こるだろうか。米国大統領選挙でよくささやかれるのが「オクトーバー・サプライズ」。投票日が迫った10月、敗色濃厚な方が「サプライズ」(いわゆる大博打)に打って出て、一気に挽回を図ることをいう。大統領の最大の「サプライズ」は戦争である。戦争が始まったらどんな政争も横において、どんな大統領でも支えなければならない。それが愛国心だというのだ。
しかし、時代は変わっている。物や人命の損失や国内外の評価などを総合して、その「コスト」に引き合う戦争があるだろうか。米国民は「9・11テロ」の報復としてアフガニスタンとイラクで戦争を始めた。これがきっかけで中東全体に動乱が広がり、テロが世界中に拡散した。米国は史上最長の戦争を今も戦い続け、国民は重い「戦争疲れ」に罹っている。
トランプ氏はどんな「サプライズ」を隠し持っているのだろうか。移民の国の移民制限、国境の壁建設、高関税を振りかざす貿易戦争、気候変動対策のパリ協定離脱、イラン核開発規制の国際合意離脱、米露中距離核ミサイル制限条約廃棄・・・その他。トランプ氏の政治・外交は歴代政権(特にオバマ前政権)の遺産を否定し、緊張を高め、あるいは敵を作り出すことによって、力ずくの政策で強行突破を図るというのがパターン。これで「米国第一」「強い大統領」を誇示して、再選につなげるというのが狙いである。21世紀への展望は全くない。
トランプ大統領の2年余り、「成功」したといえるものはない。これらからも国民の高い評価を得て選挙戦を有利に転じさせるような「成功」が、どこからか飛び出すと予想することは難しい。わずかに四半世紀にわたって歴代政権が手を焼いた北朝鮮核開発問題に「対話」の道を開いたことは「成功」らしきものといえるかもしれない。「敵」を作るのではなく、独裁者を「友人」に仕立て上げたという点では例外に見えるが、その手法と狙いは他と同じだ。
だが、2月末ハノイで開かれた2回目トップ会談は物別れに終わり、当初の「成功」は色褪せてしまった。トランプ氏が文・韓国大統領の仲立ちで金正恩労働党委員長とのトップ会談に応じたとき、ワシントンではトランプ氏が何が何でも「成功」の装いをこらすのではないかと懸念が広がった。金委員長側も同じくやるだけの核・ミサイル開発をやったあと米国の軍事脅威をそらすための局面転換が欲しかった。結果は予想通り。米外交専門家だけでなくトランプ政権内部からも「譲歩しすぎ」「また北朝鮮の罠にはまった」との批判が高まり、トランプ氏も「非核化優先」へと姿勢を硬化せざるを得なかった。
しかし、金委員長もしたたかだ。4月末にプーチン・ロシア大統領とウラジオストクで初の会談、プーチン氏はその足で北京を訪問して習近平主席と会談した。特別な内容があったわけではないが、金委員長としては改めてロシア、中国両大国の支持を確認してトランプ氏をけん制。トランプ氏はいまも金氏を優れた指導者と評価し、2 人の関係は良好と言い続けている。今さらに金委員長は悪い奴だった、だまされたと開き直るわけにもいかない。
あるとすればイランだが・・・
トランプ氏に残された「サプライズ・カード」があるとすればイランではないか。トランプ氏の中東政策はイスラエルとサウジアラビアの徹底擁護がすべてだ。これは必然的にイラン敵視政策になる。中東の反イスラエル勢力を率いるイラン、イスラム・テロリストの支援国イラン、イスラム教多数派スンニ派大国サウジアラビアと中東・イスラム世界の覇権を争うシーア派大国イラン。
イランの核開発は直接的にはイスラエルの核保有が触発した。理由はどうあれ、イランが核兵器を持てば核戦争につながる。米国、ドイツ、英国、フランス、ロシア、中国とイランは2015年7 月、イランの核兵器開発を封じ込める合意に到達、国連安保理が支持を決議して10月最終合意が成立した。オバマ米大統領の大きな業績とされる。トランプ氏は就任後すぐに、この合意から一方的に離脱した。トランプ氏はイスラエル問題でも国際的に認められていない「首都エルサレム」へ米大使館を移転させたり、イスラエルが軍事占領を続けるシリア領ゴラン高原にイスラエルの主権を認めたりと、ここでもぎりぎりに保たれてきた「危うい安定」をことさらに動揺させる政策をとり続けてきた。
何かのきっかけで中東に軍事衝突の危機が発生した場合、トランプ氏が軍事介入に出ないとは限らない。しかし、トランプ氏といえども、イランの後ろ盾ロシアと直接かかわるような介入はできない。米軍の長期駐留・泥沼化するようなブッシュ氏の二の舞も避ける知恵は働かせるだろう。軍事介入といっても「ヒット・エンド・ラン」的なのものに止めるのではないか。それでも「戦争疲れ」の米国民が「大統領の戦争」をこれまで通りに支持するとは思えないのだが。
(註)
▽沈黙の世代(1928-45年生まれ):2019年で74-91歳。黙々と戦場に向かった世代。最も保守的。
▽ベビーブーマー世代(1946-64年):55-73歳。戦争終結で将兵が帰国、多数の子どもが生まれた。テレビ時代が始まり、家族がテレビの前に釘付けになり、椅子やソファがそれまでより3、4倍早く壊れたと話題に。
▽X世代(1965-80年):39-54歳。公民権運動(黒人差別反対)とベトナム反戦運動が一体化して、大学キャンパスや大都市をデモが覆い、若者の間にカウンターカルチャー(抵抗文化)が広がり、社会と政治が混乱と混迷に陥った。
▽新世紀世代(1981-96年):23-38歳。X世代に続くY世代。「9・11テロ世代」とする主張もあったが、冷戦が終結し、21世紀という新時代への希望を背負った世代と名付けることに落ち着いた。インターネット時代にすぐ適応し、社会問題に対する関心は前の世代より高く、リベラル寄り。
▽Z世代(1997年以降の生まれ):最高齢が22歳。携帯デンワ時代を超えたスマホ育ち。
かねこ・あつお
東京大学文学部卒。共同通信サイゴン支局長、ワシントン支局長、国際局長、常務理事歴任。大阪国際大学教授・学長を務める。専攻は米国外交、国際関係論、メディア論。著書に『国際報道最前線』(リベルタ出版)、『世界を不幸にする原爆カード』(明石書店)、『核と反核の70年―恐怖と幻影のゲームの終焉』(リベルタ出版、2015.8)など。現在、カンボジア教育支援基金会長。
特集・日本を問う沖縄の民意
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- 参議院から見た立憲民主党の成立過程と真価問われる参院選後立憲民主党参議院議員/小川 敏夫
- 辺野古新基地の背後で進む危険な構想ジャーナリスト/前田 哲男
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- 県民投票の民意―沖縄の非暴力抵抗の象徴立憲民主党参議院議員/有田 芳生
- 一帯一路と伙伴(パートナー)
関係(財)国際貿易投資研究所研究主幹/江原 規由 - 「一帯一路」は「債務の罠」ではない福井県立大学教授/唱 新
- 大量難民を受入れた法治国家ドイツの苦悩ベルリン在住/福澤 啓臣
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