編集部から

編集後記

――アベの暴走を許さない戦線を 沖縄に学ぼう

●「自民300議席超え」と総選挙序盤の世論調査が各紙とも報じ列島に衝撃が走った。自民大勝か、どうか。「アベの自己都合解散以外何もないふざけた総選挙」である。世論調査にもその奇妙さがくっきりと表れている。一枚看板のアベノミクスでも評価は二分。ましてや生活がよくなったか、アベの外交政策、原発、集団的自衛権など、アベ批判の方が多い。そして共同通信調査では「アベへの支持と不支持がついに逆転」もあった。しかし投票先は自民が他を圧倒。これなんや、そうこれも民意か。アベやその政策を支持しているわけではないが、民主はじめ野党もダメ。まあ仕方ないから自民と、草の根保守志向の現れか、民度も問われる。それにしても無残な民主党の崩落の傷は今も深く禍根は大きすぎる。いまだ受け皿としての回復ならずだ。

●しかしながら“驕れるもの久しからず”である。またアベというおかしな男は、戦後保守にあった“権力の自制”心など微塵もない輩だ。取り巻きは、山谷えり子大臣はじめ、「在特会」みたいな極右ばかり。外交では、2周遅れの「対中包囲網」めざし札束外交。相手にされず、頼りのアメリカが中国重視で乗ってこない。外交的には恥をさらしつつ孤立への途を進むのがアベ。日本の国民の将来にとって最上級の危険分子であることは間違いない。見果てぬ夢の憲法改正が終局目標であろうが、さらなる暴走を許さないためにも、我われ一人一人がそれぞれの持ち場で諦めず頑張ろう。それを横につなげ、点から線に、そして面に拡大するため地道な努力を続けるしかないだろう。

●この途を行くのは大変である。しかし沖縄の人々が歩んだ苦難からすればいかほどか。2014年11月16日は沖縄の歴史が大きく動いた日として歴史に刻まれるだろう。沖縄知事選で、“沖縄のアイデンティティー・オール沖縄・辺野古移設新基地反対”を掲げた翁長候補が圧勝した。アベ自民の権力的恫喝・札束攻勢に抗して人々が戦い取ったのだ。先日逝去された土井たか子さんが健在なら“再び山が動いた”と語ったかもしれない。1609年の島津藩の琉球侵略、明治の琉球処分、先の戦争では日本で唯一の地上戦の戦場となった沖縄。そして敗戦後、日本が独立してもなおアメリカの軍事植民地となった沖縄。そこに琉球の人々は忍従し生きつづけ、そして戦い続けてこの日を勝ち取ったのだ。しがない編集子の多弁は不要だ。本号掲載の知念、大城、後田多論考、そして『現代の理論』アーカイブを是非ご一読頂きたい。偉大な結果であると同時に遼遠なる課題も明らかにされている。沖縄の人々に学ぶところはあまりにも多い。

●閑話休題―読者諸氏は、沖縄では県議会の野党第一党が社民党だとご存知か(あ、もう与党第一党だ。本土では絶滅危惧種)これホント。“タカ派の平和ボケ”これが一番危険と説くのは軍事ジャーナリストの田岡俊次さん。軍事の現実を知らぬ図上演習の世界(雑誌やテレビで論じている輩が多い)だと喝破。尖閣など、“あんな岩のためにアメリカ兵の血は流さない”がアメリカの本音。一朝事あらば最初に犠牲になるのは再び沖縄だ。また民主党政権時、“北朝鮮への先制攻撃”を主張した輩がおったとか。もう“タカ派を超えてバカ派”と。その昔、非武装中立論の社会党が“ハト派の平和ボケ”と揶揄されたが“タカ派の平和ボケ”はよほど危険だ。ついで一言、石原慎太郎よ、“お前が率先して、ヨットで尖閣に上陸して日の丸振ってみろ”と言いたい。即刻ミサイルが飛んできて腰抜かすのが落ちだ。

●さて来年は戦後70年、ますます日本は多事多難。何処へ行くのか日本です。現代の理論編集委員会でも議論が続く。どのような日本を子供や孫の世代に引き継ぐのか責任の大きさを自覚しつつの論議です。総特集的に「戦後70年・・・・」で、何を考え、どうすべきか。日本の過去・現在・未来を多角的に論じる予定です。読者諸氏からのご意見など頂ければ幸いです。発信は春号として3月初めの予定です。乞うご期待。(矢代)

●ヘイトスピーチは「スピーチ」ではない。端的に、ハラスメントだ。姜さんは語る。そもそもスピーチとして問題設定してしまうならば、あたかも言論の自由が担保されているかの感を与えてしまう。だが、違うだろう。事態はハラスメントとして問われねばならないのだ。ときとして、私たちの語る言葉はそれ自体が権力と共犯関係にある。無意識のうちに前提しているもの、姜さんはそれを問うている。本誌は、たえず根源を問うことを通じて新たな視界を、風通しのいい世界を、拓いていきたい。今後ともご指導・ご支援のほどよろしくお願いします。申し上げます。(米田)

●今号の編集作業が慌ただしくなってきた頃、師走の総選挙が決まった。「大義なき解散」との声も多いなか、大学で学生に問われた。総選挙の論点を知ろうと新聞に目を通したが、様々な論点が羅列され解説を読んでもいまいちピンとこない。もっと現状に対する体系的な理解が得られ、投票の指針となるような「理論的な」読み物はないかと。それなら『現代の理論』を読んでみたらと薦めたところ、感謝の言葉とともに耳の痛い一言が。もっと広く発信しないと、貴重な存在がもったいないですよと。

●然り。読者のみなさまからの要望も寄せられていることから、この度『現代の理論』Facebookを立ち上げました。ホームページ更新のお知らせや最新情報などを掲載していく予定です。Facebookアドレスは以下のとおりです。 https://www.facebook.com/gendainoriron4

●また、これまでどおりホームページ上ではメーリングリストへの登録のご案内をしております。友人知人の皆さんへのご案内をよろしくお願い申し上げます。さらに、登録されたにも関わらず、まだ一度もメールが届いていないという方は、迷惑メールへ振り分けられている場合もありますのでご確認のうえ、編集部までご一報下さい。よろしくお願い申し上げます。(今井)

季刊『現代の理論』2014冬号[vol.3]

2014年12月7日発行

編集人/代表編集委員 住沢博紀/千本秀樹
発行人/現代の理論編集委員会

〒171-0021 東京都豊島区西池袋5-24-12 西池袋ローヤルコーポ602

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