論壇

断罪された「橋下流」組合攻撃

橋下市長の法的断罪から政治的断罪へ!

元連合大阪副会長 要 宏輝

1.なぜ、違法な組合攻撃がなされたのか、その背景事情

それは、橋下市長が大阪府知事から大阪市長に鞍替えしてまで闘った2011年11月の市長選にある。「大阪都構想」に敵対する平松前市長、そしてその平松氏を、組織を挙げて応援した市労連(大阪市職・大阪市従・大阪水道等6組合約3万人)に対する「報復」だ。また、公明党が橋下市長を応援したのも、「大阪都構想」賛成という名分や衆議院選での取引もあるが、真の理由は、衆議院小選挙区大阪5区で大阪市職の組織内候補の民主党稲見氏と公明党・創価学会の谷口候補との間でくりかえされてきた死闘が背景にある。公務員が組合費とはいえ、もともとは税金を使って選挙を挑んでくる市労連に腹にすえかねていたのが実情だ。

ついでながら、なぜ、市職を中心とした市労連が市会議員選挙(全盛期には10名以上の組織内議員を擁した)やとりわけ「自分の会社の社長を選ぶ」とまで言われた、歴代の市長選挙で「集票マシーン」としてフル稼働してきたのか。結果、市役所出身の助役が当選・独占してきた(市の関係者以外の市長はわずかに、平松氏と橋下市長だけだ)。選挙活動の見返りは、人事院勧告を超える「隠し田」回答と言われる「職員厚遇」、ヤミ専従をはじめとする様々な組合便宜供与などだった。

2004~2005年にかけて、残業もしていないのに手当が支給される「カラ残業」や、正規の退職金、年金のほかに職員一人あたり10年で400万円近い「ヤミ年金・退職金」を支給するために、11年間で304億円もの公費を負担するなど、異常な「職員厚遇」が相次ぎ明るみに出、そしてその「職員厚遇」も「カラ残業」もマスコミの餌食にされ、公務員バッシングの源となっていった。蛇足であるが、筆者は、「残業しないで残業代を稼ぐ労働者と、残業しても残業代を請求しない労働者と、どちらが労働組合的か。前者の方が労働組合的である」と説いて回ったものだ。民間の強い組合では残業の有無に関わらず、労働日には1~2時間程度の残業代を支払うのが慣行だった。労基法では残業代の不払いは「犯罪」だが、残業代の過払いは「可」だ。とりわけ、各種選挙では「市民目線」と言い募るが市民の8~9割は労働者である。当時も今も、筆者は「強い労働者目線」で、バッシングにあう「あるべき公務員労働者」の味方であり続けたいと念じている。

本題に戻すが、11月19日に就任した橋下市長は、その施政方針演説において「大阪市役所の組合を適正化することに執念を燃やす。公務員、公務員組合をのさばらしておくとギリシャのように国が破綻してしまう。市役所の組合を徹底的に市民感覚に合うように是正、改善していくことによって日本全国の組合を改めていく。そのことによってしか日本の再生の道はない」と公言した。日教組や自治労等を「特定」の目の敵にしてきた、旧来の自民党や右翼をも超えた、日本の労働運動全体に対する「宣戦布告」だった。

2.橋下市長の職員・組合攻撃の違法性プラス特異性

背景事情で前述したように、これまでの市当局や労働組合の側に正すべき問題があったにせよ、だからといって、その「適正化」(橋下市長)を名分にして違憲(憲法19条「思想および良心の自由」・21条「集会・結社・表現の自由・通信の秘密」)、違法が許されるものではない。精神科医でもある野田正彰教授は、知事になった前後の言動を見て、橋下知事の「病気」を自己顕示欲型精神病質者、演技性人格障害と診断されている。とりわけ演技性人格障害の特徴要件六つの内、「①興奮、他人の評価、及び自分が注目の的になるような行動を持続的に追い求めること」はじめ、五つの要件を満たしているとしている(2011.11新潮45、野田正彰「大阪府知事は『病気』である」)。知事、その後の市長時代の橋下の言動は、演技性人格障害の特徴要件から見れば、一般人には非常によく分かりやすい。がしかし、この「野田診断」は間違っており、これをもって橋下批判をなすことは重大な誤りである。

<補1>理由その1。この「野田診断」は、2011年来、全国「精神病」者集団から糾弾を受け続けている、重大な人格権の侵害事案である。悪質な人格侵害の場合、通常の不法行為の差止請求とは異なり、侵害者の故意または過失についての立証責任を要しないとまでされている重大事案である 。理由その2。橋下の具体的言動の批判(行為に対する批判)ではなく、その人格への批判(行為者への批判)であり、「橋下が異常な人格であるから、橋下は間違っている」という短絡的な批判は真の意味で政治家批判ではない。まさに人格攻撃であり、行為主義ではなく行為者主義を採るという意味で、保安処分の根底にある危険な思想に通じる。何らかの精神障害であるからという「批判」はまさに障害者差別であり、発達障害やコミュニケーション障害があるとされた人はその障害を批判されなければならないいわれはない。理由その3。野田医師がマスコミ情報だけで橋下の人物を「病者」と診断するのがそもそも論外だが、「病者」であることを理由にその政治思想ないし政治行動を批判するというのは、運動には百害あって一利なしであるだけでなく、「病者差別」をふりまくだけで問題の本質的な解決にならない。橋下市長のような政治家を生み出したのは、この社会であり、「弱い労働運動社会」に主たる責めがある。

橋下市長の「宣戦布告」から始まった職員・組合「攻撃」は特異性を極め、とりわけ不当労働行為意思の露骨な公言は「確信犯」の宣言に等しい(通常、使用者は不当労働行為意思を隠すのが常で、この立証は「悪魔の証明」と言われるほど難しい)。その違法性は訴訟等で立証するのに時間がかかり、多くの労働組合や職員が直接「被害」を受け、そして府民・市民が割を喰うこととなる。橋下市長の「被害者」の申立てや提訴の件数の多さ、その事案の異様さは際立っている。「弁護士は他人の不幸で飯を食う職業」と言われるが、橋下市長は社会に災忌を巻き散らしていると言うほかない。

まずは、別掲の二つの一覧表を見ていただきたい。「橋下市長他を労働委員会・人事委員会に申し立てている事件」は37件(注1)。申立人は、「全職員対象の政治・組合活動アンケート」、「組合事務所関連の事案」、「チェックオフ廃止」といった団交拒否・支配介入の事案(府労委所管)は自治労系の市労連、自治労連系の市役所労組、教育合同が申立人に、そして「君が代」戒告処分事案等(人事委員会所管)については教育合同はじめ多数の個人申立人となっている(そのほとんどが裁判に移行する可能性が高い)。

また、別掲の橋下市長他を訴えている裁判事件の20件(注2)では、「組合事務所使用不許可処分取消訴訟」・「思想調査国賠請求訴訟」は当該の市労連や市労組、市教組、大阪朝鮮学園、さらに「見張り番」・オンブズマンといった住民訴訟が加わっている。行政を相手とする行政訴訟等は、通常、勝ち目がないから起こさないものだが、これだけの件数が提起・申立されたことはそれなりの理由・背景がある、つまりは橋下市長の違法性プラス特異性のなせる結果というほかない。

ここでは労働委員会と裁判所に絞って考察する。労働委員会に係属する事件は当然、当事者(申立人)は労働組合が中心だが、その救済申立事案は「①組合事務所の庁舎からの退去処分」「②職員アンケート」「③組合費チェックオフ廃止」の併合も含めて3件、①は府労委が違法認定、中労委で再審査中だったが、この9月10日大阪地裁が大阪市(被告)敗訴の判決を出した。周知のように憲法28条は組合活動の自由を認め、団結権はじめ労働三権を保障しているが、組合事務所の貸与や組合費チェックオフの便宜供与を使用者義務とまではしていない。過去、これら事案での組合側勝訴の判例は、「事務所の貸与継続の一方的打切り」、複数併存組合化での「差別扱いの禁止」のケースだ。

3.橋下市長の主張:庁舎の組合事務所貸与は「庁舎の目的外使用」に該当

筆者らは組合側勝訴を確信してはいたが、橋下市長の行った「組合事務所の退去処分」の正当化の主たる主張は、地方自治法238条の4第7項「公共の建物である庁舎の目的外使用を許可することができない」を根拠とし、「組合活動に便宜供与はしない」旨を定めた「大阪市労使関係条例」(2012年8月施行)を二つ目の根拠としてなされている。さらに、「組合員等によって庁舎内で政治活動が行われば、それが違法でない場合であっても、住民の行政の中立的運用に対する信頼が損なわれる」(地裁判決p22「被告の主張」)とも、「組合事務所に供与するような行政事務スペースもない」(前掲判決p20・21「被告の主張」)とも主張している。が、橋下市長の真の主張は「率直」だ。橋下市長は、対抗馬の平松前市長の選挙活動の拠点となった労働組合の事務所を認めるなら、「大阪維新の会」の事務所も庁舎内に認めるべき、公募入札(?)にかけるとも記者会見で言い募っていた。 

「公募」に関連して脱線するが、市労連の最大組織の大阪市職のケースで、市役所に支払っていた家賃は、80%減免(2009年)⇒70%減免(2010年)⇒60%減免(2011年)と引き上げられて、2011年11月橋下市長誕生によって減免率ゼロになり、年間1061万円の家賃を支払う義務を負うことになった。「退去処分」によって庁外の民間貸ビルに組合事務所を移転したが、そこの家賃が年間1050万円で負担はさほど変わらないが、減免率80%の時と比較して、年間約800万円の負担増だ。他の7労組にとっても同様で、団結権(組合活動)の侵害もさることながら、経済的な負荷(実損)も大きい。民間の組合事務所のほとんどが家賃なしの使用貸借であるのと比べても大問題であることは歴然だ。

4.裁判所、労働委員会が「橋下流」組合攻撃を法的に断罪

大阪市庁内で事務所を展開していた自治労系6労組は2012年3月に退去し、自治労連系2労組は家賃を供託して居座り続けているが、8労組すべてが2012年4月までに事務所の「使用不許可処分取消等」を求めて提訴していた。大阪府労委は今年2月、組合事務所問題をめぐる「団交拒否」と「支配介入」(退去要求)について、それぞれ労組法7条の2号、3号違反として救済命令を発していた。労働委員会を「労働運動の砦」と言い続けてきた筆者としては、紙幅の関係上、9月10日の大阪地裁第5民事部(中垣内健治裁判長)の、組合事務所の「使用不許可処分取消等」の判決、「橋下流」組合攻撃を法的に断罪した判決について考えたい。

この地裁判決は行政訴訟にもかかわらず、府労委が命令の自由裁量権を自制し、「労使関係条例」を違法とせず、「組合事務所を貸与せよ」と明確に命令しなかった2月の労働委員会命令の「不足」を見事に超えて、組合事務所の「不許可処分」の取消しと損害賠償請求の支払い(400万円)を命じた。さらに橋下市長には組合の団結権侵害の意図があったと認め、大阪市労使関係条例を違法な条例と断定し、その適応を認めず、貸与慣行の打ち切りには合理的な理由がないと明解に判示した。不当労働行為意思を臆面もなく露出し、公言する、不当労働行為の「確信犯」たる使用者=橋下市長の所業からすれば、当然過ぎる判決ではあったが、その意義は大きい。しかし、橋下市長は高裁に上告した。

筆者は、この地裁判決を、暗闇に一点の希望の光のような「大飯原発訴訟判決」(H26.5.21)の「次」に位置づけて評価している(※その判決内容は、「原発から250キロ圏内の原発を運転してはならない」、「国富とは貿易収支の赤字・黒字とかではなく、国富とは、豊かな国土とそこに国民が根をおろして生活していることであり、これを取り戻すことができないことが『国富の喪失』である」と明解に判示した)。

労働委員会関係でも6月27日、中労委は、大阪市が職員3万4千人を対象に実施した「職員アンケート」は市側の不当労働行為(組合活動への支配・介入)であると認定し、組合側に再発防止を誓約する文書(謝罪文ではない!)を手渡すよう命令した。8月6日、橋下市長は市労連を訪ね「誓約書」を手渡した。橋下市長は命令取消しの訴訟を提起すことをめざしたが、自民・公明・民主・共産の多数派野党の反対に阻まれ、6.27中労委命令が確定することとなった。なお、府労委は「チェック・オフ問題」・「職員アンケート問題」など、申立てのあった7件すべてを違法とし、市側の不当労働行為を認定していた。

5.法の水準を超え、かつ違法な条例は無効!

しかし、「この種の事案を法的に争う場合、負けると影響が大きいが、勝ったからといって事件が直ちに解決するわけではない」(西谷敏・大阪市大名誉教授)。つまり、不当労働行為事件がその最たるものだが、その科料(罰金)も低いし、原状回復には程遠く、「やり得」に結果するのが常である。

そこで、法律と条例の関係について考察を試みることにしたい。条例は法律の範囲内において制定することが憲法に定められており、これに加え、地方自治法14条第1項により、条例は法令に反してはならない。また、地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない(同法2条16項)と、規定されている。「職員アンケート」等、橋下市長が行ってきた政策(条例)のすべてが現在の法体系のなかでは許されないと判示された、法的意義は大きい。

*同じく大阪地裁(中垣内裁判長)は11月26日、大阪市教職員組合が教研集会の会場として小学校を貸さなかった処分は不当として市を訴えた訴訟で、市に賠償を命じ、市が根拠とした労使関係条例の条文は「適用すれば団結権を侵害し違憲」との画期的な判断を下した。

<補2>これに関係する判例として、徳島市公安条例事件がある。

①国の法令が全く規制していない領域 :
条例で任意の規制ができる

②既に国の法令が規制をしている領域 :
・法令の執行を妨げるとき :条例による規制はできない
・法令の規制とは別目的の規制 :条例による規制ができる
・法令の規制と同一目的の規制
・法令が全国一律の均一的な規制をしているとき :条例による規制はできない
・法令が最小限の規制をしているとき :条例による規制ができる

<補3>条例の種類

●上乗せ条例

国の法令に基づいて規制されている事項について、当該法令と同一の目的で、それよりも厳しい内容を課す条例である。国の法令が、全国一律の最低水準(ナショナル・ミニマム)を課していると考えられる場合には、上乗せ条例が許容される。許容例(大気汚染防止法4条1項、騒音規制法4条2項)。 

●裾切り条例

国の法令が、一定規模または一定基準未満を規制対象外としている場合に、この領域を規制対象に含めてしまう条例である。法令が一定規模未満の領域をナショナル・ミニマムから外しており、地域の実情に応じて規制することを許容していると考えられる場合には、裾切り条例は許容される。なお、これが許容されても、その部分をより厳しい規制によって規律できるかどうかは別問題であり、個々の法令と条例の関係によって決せられる。

●横出し条例

国の法令と条例が同一目的で規制を行う場合に、法令で規制していない事項を規制する条例である。法令による規律は、ナショナル・ミニマムにとどまり、地方の実情に合わせて規律してもよいと考えられる場合には、横出し条例は許容される。許容例(大気汚染防止法32条、騒音規制法27条2項)。

●上積み条例 

給付の増額等のケース(法律が決めた額の児童福祉手当を5000円上積みして支給する、最低賃金を法の額より上積みする(尼崎市の非正規雇用者の賃金上積み条例案等)

<補4>参照判例

地方自治法14条1項は、普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて同法2条2項の事務に関し条例を制定することができる、と規定しているから、普通地方公共団体の制定する条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるかどうかによってこれを決しなければならない。

例えば、ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうるし、逆に、特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときや、両者が同一の目的に出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえないのである。(最高裁1975年(昭和50年)9月10日)

6.労働運動で、橋下市長の政治的断罪=政治的死を!

「水に落ち(かけ)た犬を打て」と言いたいところだが、それにしても「鞍替え出馬」の好きな橋下市長、橋下徹である。府市とも「維新」は少数与党になり、その「独裁の椅子」の座り心地が悪くなってきている。述べてきたように、一連の職員・組合攻撃がことごとく、法曹界、弁護士の出身でありながら法的敗北を喫し続けている。大阪市長を投げ出し12月総選挙に出るといってみたり、一生、公明候補に対立して出てやると脅してみたり、あげくは公明と裏取引したのかと噂される「公明に対立候補を立てない」と、もう破廉恥きわまりない見苦しさである。大阪市民・府民もそろそろ橋下に鉄槌を浴びせる時だ。府・市民の民度も問われている。

「生きるか、死ぬか!」「喰うか、喰われるか!」は橋下市長の選挙演説の常套句であるが、市労連の中核の市職執行部は「橋下台風」の去るのをただただ忍んで待つ方針だと仄聞しているが、橋下流の不当労働行為に傷つけられた労働運動の原状回復は果たせず、人権侵害を受けて闘う組合員らの法廷闘争は延々と続くのだ。

とりわけ、「職員基本条例」の改悪部分の再改訂や最悪の「労使関係条例」の廃止は難しく、存続することになるだろう。自・公や「維新」にとって、集票マシーンと言われた市労連の復活を望んでいないからだ。原状回復はじめ、すべての法廷闘争の決着は、それこそ市職が軸になり、市労連⇒自治労府本部⇒連合大阪へと攻めの陣形をつくりあげ、共産党をふくめた左派が超党派で闘うことである。それが成就した時、現実の政治的断罪=決着の緒につくことになる。

この11月28日、南大阪平和人権センターがシテ役となって実行委員会方式で、別掲の二つの一覧表記載の争議当該の組合や個人が超党派的に結集して、「入れ墨調査拒否者への不当処分撤回11.28集会(サブタイトル:橋下市長の好きにさせんぞ)」(pm18:30エルおおさか・エルシアター、800人収容)を開催する。市労連関係者も参加するようだ。闘いの好い兆しも出てきているが、橋下徹のまき散らした種の後始末の闘いの道のりは、まだ長い。

(注1)橋下市長他を労働委員会・人事委員会に申立ている事件
No 申立て事項 申立て日 申立て者・労組 現状 備考
1 全職員対象の政治・組合活動アンケート   大阪市労連 外4労組 2013年3月府労委勝利命令
2014年6月27日中労委勝利命令
命令確定
2 入れ墨調査拒否者への処分撤回   竹下太 準備書面のやり取り  
3 入れ墨調査拒否者への処分撤回   赤田由行 準備書面のやり取り  
4 入れ墨調査拒否者への処分撤回 2012年10月22日 津々木勇 準備書面のやり取り  
5 入れ墨調査拒否者への処分撤回 2012年10月22日 矢野幸一 準備書面のやり取り  
6 組合事務所使用継続など不当労働行為救済 2012年3月 大阪市役所労組 2014年2月大阪府労委で勝利命令、中労委で審議中  
7 組合事務所使用継続など不当労働行為救済   大阪市労連 外5労組 2014年2月大阪府労委で勝利命令、中労委で審議中  
8 チェックオフ廃止取り消し   大阪市従業員労組外2労組 2014年2月大阪府労委で勝利命令、中労委で審議中  
9 労組の事務所撤去をめぐる団交拒否   大阪市労連 外5労組 2014年9月大阪府労委で勝利命令、中労委で審議中  
10 労働協約の廃止取り消し   大阪水労市大労組 2014年9月結審  
11 君が代の斉唱条例についての団交拒否 2012年3月23日 教育合同 2014年3月大阪府労委で勝利命令、中労委で審議中  
12 2010年講師雇用継続についての団交拒否 2010年6月1日 教育合同 2012年11月中労委で勝利命令 府側提訴:地裁・高裁勝訴
13 2011年講師雇用継続についての団交拒否 2011年3月10日 教育合同 2013年12月中労委で勝利命令 府側提訴:地裁・高裁勝訴
14 2010年定期交渉の団交拒否 2011年6月16日 教育合同 2013年1月7日府労委で勝利命令 府側提訴審議中
15 2011年定期交渉の団交拒否 2011年3月10日 教育合同 2013年12月20日府労委で勝利命令 府側提訴審議中
16 府労委命令履行要求 2013年12月26日 教育合同 府労委調査中  
17 2012年講師雇用継続についての団交拒否 2012年6月20日 教育合同 2013年10月24日府労委勝利命令 府側提訴審議中
18 2012年定期交渉団交拒否 2013年8月27日 教育合同 府労委調査中  
19 2013年講師雇用継続団交拒否 2013年8月27日 教育合同 府労委調査中  
20 対市府労委命令履行要求 2013年12月26日 教育合同 府労委調査中  
21 「君が代」戒告処分・再任用拒否撤回 2012年3月30日 山田肇 2014年3月24日戒告処分取消勝利裁決・再任用拒否不当裁決⇒提訴予定  
22 「君が代」戒告処分・再任用拒否撤回 2012年3月29日 菅平和 口頭審理を終え裁決待ち  
23 「君が代」戒告処分撤回 2012年4月18日 佐藤訓子 口頭審理期日未定  
24 「君が代」戒告処分撤回 2012年5月23日 山口広 口頭審理準備手続き  
25 「君が代」戒告処分撤回 2012年5月17日 梅原聡 2014年7月25日口頭審理  
26 「君が代」戒告処分撤回 2013年4月30日 増田俊道 口頭審理準備手続き  
27 「君が代」戒告処分撤回 2013年5月7日 吉田正弘 準備書面のやり取り  
28 「君が代」戒告処分・再任用拒否撤回 2013年3月28日 松村宜彦 口頭審理準備手続き  
29 「君が代」戒告処分・再任用拒否撤回 2013年3月29日 野村尚 口頭審理準備手続き  
30 「君が代」戒告処分 2012年6月21日 辻谷博子 口頭審理準備手続き  
31 「君が代」戒告処分撤回 2012年5月23日 奥野泰孝 2014年8月27日口頭審理  
32 「君が代」戒告処分撤回 2012年6月13日 沼田祐子 口頭審理を終え裁決待ち 大阪市人事委員会
33 「君が代」戒告処分撤回 2012年4月26日 森下俊彦 2014年3月却下 2014年6月再審議却下
34 「君が代」戒告処分撤回 2014年5月20日 梅原聡史 準備書面のやり取り 不起立2回目の戒告処分
35 「君が代」減給処分撤回・再任用拒否撤回 2013年3月29日 佐藤訓子 準備書面のやり取り 豊中市公平委員会
36 「君が代」減給処分撤回 2013年4月3日 奥野泰孝 審理中断 裁判へ
37 「君が代」減給処分撤回・再任用拒否撤回 2013年3月28日 辻谷博子 審理中断 裁判へ
(注2)橋下市長外を訴えている裁判一覧表
No 訴え事項 提訴日 訴え者・労組 現状 備考
1 入れ墨調査拒否者への処分取り消し訴訟 2012年10月15日 安田匡 2014年7月2日証人調べ 2014年10月6日結審
2 入れ墨訴訟取り下げ拒否、配転取り消し訴訟 2013年5月9日 安田匡 2014年7月2日証人調べ 2014年10月6日結審
3 入れ墨調査拒否者への処分取り消し訴訟 2012年12月27日 森厚子 2014年7月14日口頭弁論  
4 「君が代」不起立減給処分取り消し訴訟 2013年9月24日 奥野泰孝 2014年8月25日口頭弁論  
5 「君が代」不起立減給処分取り消し訴訟 2014年1月20日 辻谷博子 2014年7月30日口頭弁論  
6 思想調査国家賠償請求訴訟   大阪市役所労組    
7 思想調査国家賠償請求訴訟   大阪市労連 2014年7月16日大阪市と野村修也の証人尋問  
8 組合事務所使用不許可処分取り消し訴訟 2012年3月 大阪市役所労組 2014年9月10日大阪地裁勝利判決  
9 組合事務所使用不許可処分取り消し訴訟   大阪市労連 2014年9月10日大阪地裁勝利判決  
10 喫煙での停職1年取り消し訴訟 2012年8月2日 交通局職員   交通局職員
11 特別秘書の給与返還請求訴訟 2013年5月2日 住民10人   600万円給与
12 WTC購入違法訴訟   藤永延代、西谷文和外   96億円返還
13 アメリカ出張キャンセル料支払い求める訴訟   住民訴訟    
14 衆議院選挙で仕事をしなかった給与82万円返却訴訟 2013年2月15日 見張り番    
15 放射能がれき広域処理差し止め訴訟 2013年1月13日 住民訴訟   原告300人
16 「君が代」不起立処分差し止め訴訟 2014年3月 日 梅原聡 2014年3月24日却下即時抗告するも決定前に戒告処分通知 事実上「減給」処分をストップさせる
17 教研集会場使用不許可処分に対する訴訟 2012年8月14日 大阪市教組   2014年9月16日組合側勝訴判決
18 朝鮮学校への補助金不交付処分撤回、交付を求める訴訟 2012年9月20日 大阪朝鮮学園   2010年度
大阪府:8,724万円
大阪市:2,650万円
19 出直し大阪市長選費用5億2600万円返還訴訟 2014年7月14日 税金オンブズマン    
20 出直し大阪市長選費用5億2600万円返還訴訟 2014年7月14日 見張り番    

〈資料〉
大阪地裁第5民事部(中垣内健治裁判長)の、組合事務所の「使用不許可処分取消等」の判決全文(9月10日)は、以下のアドレスに入れば全文が読めます(編集部) →判決全文(PDF 2.76MB)

かなめ・ひろあき

1944年香川県生まれ。横浜市立大学卒業。総評全国金属労組大阪地方本部に入り、91年書記長、金属機械労組大阪地本書記長から99年連合大阪専従副会長。93~03年大阪地方最賃審議会委員。99年~08年大阪府労働委員会労働者委員。著書に『倒産労働運動―大失業時代の生き方、闘い方』(柘植書房)、『大阪社会労働運動史第6巻』(共著・有斐閣)、『正義の労働運動ふたたび』(アットワークス)。

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