2023・1・1
シリーズ 「抗う人」 西村秀樹

「時代の転換期」を迎えた、と思う。ロシアのウクライナ侵攻は遠い世界のことではない。台湾危機、北朝鮮のミサイル実験の連発などを口実に、日本は“専守防衛・非戦国家”をかなぐり捨て、再び軍事大国・戦争国家への道を歩み始めた。そのようなとき、わたしたちは何ができるのか。明治以来の近代化・軍事大国化の過去から学ぶことが大事だ。大逆事件、横浜事件など、どれも権力による露骨なでっち上げだったが、当事者は死を余儀なくされた。そうした強いられた闘いに対して、抗うことがかろうじて自らの存在を許される唯一の生き方だったのだ。抗った人びとの苦闘の歴史をせめて文字として残しておきたいと考え、執筆を続けた。

シリーズ「抗う人」を読んでいただく皆さんの心に一条の光を灯せたらと願う。
(西村秀樹)

 

 
#1 西山 太吉  沖縄密約を暴いた記者
#2 二河 通夫  大逆事件の志を継ぐ
#3 木村 まき  横浜事件・司法の戦争責任を問う
#4 むの たけじ 新聞の戦争責任を問う
#5 髙野 雅夫  夜間中学・武器となるコトバを
#6 小林 圭二  原発神話を衝く「熊取六人組」
#7 井戸 謙一  司法の原発責任を問う
#8 沖浦 和光  民に寄り添い差別に抗う
#9 西川 治郎  105歳 宗教の戦争協力に抗し
#10 頭士 倫典  被差別部落民18人殺害、美作騒擾140年の沈黙に抗う
#11 原 寿雄   「準戦時体制」に抗いジャーナリストの覚悟を問う
#12 植村 隆   慰安婦「捏造」=朝日新聞攻撃に抗う
#13 金 時鐘   朝鮮戦争に抗い、朝鮮分断に抗う
#14 松元 剛   言論弾圧に抗い、読者の知る権利に応える沖縄の新聞記者
#15 上田 正昭  皇国史観、差別に抗い、天皇や司馬遼太郎に大きな影響を与えた
#16 朱 成山   ユネスコの世界記憶遺産登録を果した南京虐殺記念館前館長
#17 原田 宏二  現代の治安維持法=「共謀罪」に抗う元警察幹部
 
「抗う人」関連の3稿を収録
# 朝鮮戦争に日本は「参戦」した
# 琉球遺骨返還訴訟が暴く京大の史的暗部
# 朝鮮戦争の反戦デモ「吹田事件」の裁判資料が博物館に寄贈される

 

シリーズ「抗う人」収録論稿の初出号一覧

にしむら・ひでき

ジャーナリスト。1975年慶應義塾大学卒業後、毎日放送入社。主に報道局でニュースやテレビ・ドキュメンタリー番組を制作。北朝鮮訪問6回など、済州島から豆満江まで朝鮮半島を縦断取材した。植村直己の冬期登山隊に同行取材した『遙かなり 厳冬のエベレスト』(1981年)、北朝鮮に7年間抑留された紅粉船長の留守家族を取材した『JNN報道特集・妻たちの7年〜第十八富士山丸事件』1990年)、金学順さんにインタビューした『軛(くびき)の女〜朝鮮人従軍慰安婦』(1991年)などの番組を制作した。また豊田商事会長刺殺事件に現場で遭遇。NHK「アナザー・ストーリーズ『豊田商事事件〜時代が生んだ悲劇』」(2020年)で紹介された。近畿大学人権問題研究所客員教授、同志社大学、立命館大学で非常勤講師。日本ペンクラブ会員・元理事。

著作に『北朝鮮抑留〜第十八富士山丸事件の真相』(岩波現代文庫、2004)、『大阪で闘った朝鮮戦争〜吹田枚方事件の青春群像』(岩波書店、2004)、『朝鮮戦争に「参戦」した日本』(三一書房、2019)。共著に『テレビ・ドキュメンタリーの真髄〜制作者16人の証言』(藤原書店、2020)など。

季刊『現代の理論』 特別版『シリーズ「抗う人」』

2023年1月1日(日)発行

著者/西村秀樹

発行人/現代の理論編集委員会

〒171-0021東京都豊島区西池袋5-24-12 西池袋ローヤルコーポ602

URL http://gendainoriron.jp/
e-mail gendainoriron@yahoo.co.jo
郵便振替口座番号/00120-3-743529 現代の理論編集委員会

  

 「抗う人」掲載号表紙

「抗う人」#1 掲載号

「抗う人」#4 掲載号

「抗う人」#8 掲載号

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